2025年3月27日、サステナビリティの分野で注目すべき進展がありました。再生可能エネルギーの急速な普及、企業の持続可能性への取り組み強化、そして気候変動対策に向けた新たな技術開発など、多岐にわたる動きが見られました。本日のコラムでは、これらの最新動向を詳しく解説し、企業のサステナビリティ戦略に与える影響を考察します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. 2024年の新規発電容量の92.5%が再生可能エネルギー
CleanTechnicaの報告によると、2024年に世界中で新たに追加された発電容量の92.5%が再生可能エネルギー源からのものでした。この数字は、エネルギー転換が加速度的に進んでいることを示しています。また、カリフォルニア州では、灌漑用水路に太陽光パネルを設置する「ソーラーキャナル」プロジェクトが注目を集めています。これは既存の水インフラを活用して太陽光発電を行う革新的なアプローチです。
さらに、コペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズ（CIP）が、イタリアで2,300MWの大規模バッテリー事業を展開する計画を発表しました。これらのプロジェクトは、再生可能エネルギーの普及を加速させるとともに、電力系統の安定性向上にも貢献すると期待されています。
(出典: https://www.greenenergytimes.org/2025/03/march-27-green-energy-news-12/)
2. INGグループ、SBTiによる科学的根拠に基づく目標の検証を受けた初のグローバル銀行に
オランダを拠点とする多国籍銀行INGグループは、Science Based Targets initiative（SBTi）によってネットゼロ目標の検証を受けた初のグローバル銀行となりました。INGの2030年目標には、2023年をベースラインとしてスコープ1および2の排出量を44%削減することや、ポートフォリオの少なくとも67%をカバーするスコープ3の目標設定が含まれています。
この動きは、金融機関がサステナビリティへの取り組みを強化し、具体的な数値目標を設定する傾向が加速していることを示しています。INGの事例は、他の金融機関にとってもベンチマークとなり、業界全体のサステナビリティ戦略の向上につながる可能性があります。
(出典: https://www.esgdive.com/news/ing-group-first-global-bank-sbti-validated-targets-scope-1-2-3-fossil-fuel-financing/743737/)
3. アラムコ、サウジアラビア初のCO₂直接空気回収テストユニットを稼働
サウジアラムコは、シーメンス・エナジーと協力して、サウジアラビア初のCO₂直接空気回収（DAC）テストユニットを稼働させました。このユニットは年間12トンのCO₂を大気から除去する能力を持ち、大規模適用の実現可能性を検証するためのものです。
このプロジェクトは、アラムコが2050年までにスコープ1および2の温室効果ガス排出量をネットゼロにするという目標に向けた取り組みの一環です。DACテクノロジーの開発と実用化は、特に排出削減が困難なセクターにおいて重要な役割を果たすと期待されています。
(出典: https://esgnews.com/aramco-launches-saudi-arabias-first-co%E2%82%82-direct-air-capture-test-unit-with-siemens-energy/)
4. テマセク支援のペンタグリーンとBII、クリーンエネルギープロジェクトに8000万ドルの資金提供を発表
HSBCとテマセクが設立した持続可能なインフラ金融プラットフォームであるペンタグリーン・キャピタルと、英国国際投資（BII）は、東南アジアにおける大規模太陽光発電および蓄電池プロジェクトを加速させるため、ib vogtシンガポールと共同で8000万ドルの資金提供ファシリティを立ち上げました。
この資金は、フィリピン、インドネシア、およびその他の適格国で約3億ドル相当のグリーンエネルギープロジェクトを推進し、約260MWpの太陽光発電と175MWhの蓄電池容量を提供する予定です。このイニシアチブは、東南アジア地域における再生可能エネルギーの普及を加速させ、年間約257,000トンのCO2排出削減に貢献すると期待されています。
(出典: https://esgnews.com/temasek-backed-pentagreen-bii-announce-80m-financing-for-clean-energy-projects/)
5. コンチネンタルのUltraContact NXT、自動車サステナビリティ賞2025を受賞
コンチネンタルのUltraContact NXTタイヤが、自動車サステナビリティ賞2025の「テクノロジー – 材料/原材料、循環経済」カテゴリーで受賞しました。このタイヤは、サイズによって最大65%の再生可能、リサイクル、およびISCC PLUSマスバランス認証材料を使用しています。
UltraContact NXTは、持続可能な材料の高い割合と最高レベルの安全性および性能を両立させています。このような製品開発は、自動車産業におけるサステナビリティへの取り組みが、性能や安全性を犠牲にすることなく進展していることを示しています。
(出典: https://www.continental.com/en/press/press-releases/20250327-uc-nxt-sustainability-award/)
まとめ
2025年3月27日のサステナビリティ関連ニュースは、再生可能エネルギーの急速な普及、企業の具体的な持続可能性目標の設定、そして革新的な技術開発の加速を示しています。これらの動向は、企業がサステナビリティを事業戦略の中核に据え、具体的な行動を起こしていることを示しています。特に、再生可能エネルギーの普及と革新的な技術開発が加速していることは、2030年に向けた気候変動対策の重要なマイルストーンとなるでしょう。
企業のサステナビリティ担当者は、これらのトレンドを踏まえ、自社の戦略を再評価し、必要に応じて修正を加えることが重要です。特に、科学的根拠に基づく目標設定、サプライチェーン全体での排出削減、そして革新的な技術への投資が、今後ますます重要になると考えられます。また、金融機関や投資家の間でサステナビリティへの関心が高まっていることから、企業は自社のESG情報開示をさらに強化し、投資家とのエンゲージメントを深めることが求められるでしょう。
2025年は、パリ協定の目標達成に向けた重要な年となります。今回紹介した動向は、世界が着実にサステナブルな社会への移行を進めていることを示しています。企業は、この変化の波に乗り遅れることなく、積極的に自社のサステナビリティ戦略を推進していくことが求められます。
