2025年4月3日、世界各地でサステナビリティに関する重要な動きがありました。欧州連合(EU)の報告義務の延期、企業のサステナビリティ戦略の発表、学術研究の進展など、多岐にわたるトピックが報じられました。本コラムでは、同日に発表された注目すべきニュースや論文を取り上げ、サステナビリティの最新動向をお伝えします。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. EU、サステナビリティ報告義務の実施を延期
2025年4月3日、欧州議会は、企業のサステナビリティ報告義務に関する規則の実施を延期することを決定しました。この延期により、従業員数500人未満の企業や非上場の大企業に対する報告義務の適用が2028年まで延期されます。また、サプライチェーンにおける環境・人権デューデリジェンスの頻度も年1回から5年に1回へと変更される可能性があります。この決定は、中小企業への規制負担を軽減することを目的としていますが、企業の説明責任や規制の安定性に対する懸念も指摘されています。
2. Woodside Energy、2025年サステナビリティブリーフィングを発表
オーストラリアのエネルギー企業Woodside Energy Group Ltdは、2025年のサステナビリティブリーフィングを発表しました。同社は、炭素排出量の削減と持続可能なエネルギー生産への取り組みを強調し、環境保護と責任あるエネルギー供給の両立を目指す戦略を示しました。
(出典:https://www.winssolutions.org/sustainability-news-march-31-april-06-2025/)
3. ISS ESG、新たなサステナビリティ債券評価を導入
2025年4月3日、ISS ESGは、グリーンボンドやソーシャルボンドなどのサステナビリティ債券に対する新たな評価手法を導入しました。この評価は、国際基準との整合性、環境・社会への影響評価、発行体の持続可能な戦略の3つの観点から債券を評価し、投資家に対する透明性と信頼性の向上を図ります。
(出典:https://www.gibsondunn.com/gibson-dunn-esg-monthly-update-april-2025/)
4. アイルランドEPA、環境研究に最大660万ユーロの資金提供を発表
アイルランドの環境保護庁(EPA)は、2025年4月3日、新たな環境研究プロジェクトに対して最大660万ユーロの資金提供を行うことを発表しました。この資金は、気候変動、生物多様性、水資源管理など29の研究テーマに対して提供され、政策立案や環境保護の推進に貢献することが期待されています。
5. PLOS Sustainability and Transformation誌、持続可能な養殖業のガバナンス指標を提案
2025年4月3日、PLOS Sustainability and Transformation誌において、持続可能な養殖業のためのガバナンス指標に関する研究が発表されました。この研究では、養殖業の持続可能性を評価するための診断フレームワークが提案され、政策立案者や業界関係者が持続可能な養殖業の実現に向けた取り組みを進めるための指針となることが期待されています。
(出典:https://journals.plos.org/sustainabilitytransformation/article?id=10.1371/journal.pstr.0000165)
6. アリゾナ州立大学、持続可能性教育と研究に注力
アリゾナ州立大学(ASU)は、2025年4月3日、持続可能性に関する教育と研究の強化を発表しました。全ての新入生に対して持続可能性のコースを必修とし、また、炭素回収、水資源の安全性、再生可能エネルギーに関する研究センターを設立するなど、持続可能な未来に向けた人材育成と研究開発を推進しています。
(出典:https://time.com/7172467/michael-crow-2/)
7. ファッション業界、財務報告におけるサステナビリティの取り扱いに課題
2025年4月3日、Vogue Businessは、主要なファッションおよび美容ブランドの財務報告において、サステナビリティに関する情報が十分に反映されていないことを指摘しました。多くの企業がESGやサステナビリティへの取り組みを言及しているものの、それらが財務パフォーマンスにどのように影響しているかについての具体的な情報は乏しく、投資家への透明性や説明責任の向上が求められています。
まとめ
2025年4月3日は、サステナビリティに関する多岐にわたる動きが見られました。EUの報告義務の延期は、企業の規制対応に影響を与える可能性があり、企業は柔軟な対応が求められます。一方で、企業や研究機関による持続可能な戦略や研究の発表は、サステナビリティへの取り組みが進展していることを示しています。また、ファッション業界における財務報告とサステナビリティの統合の課題も浮き彫りになりました。これらの動向を踏まえ、企業は持続可能なビジネスモデルの構築と透明性の向上に努めることが求められます。