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USC、温室効果ガス排出50%削減 廃棄物90%削減を目指す

2025年4月15日は、グローバルにおいてサステナビリティ分野で多様な動きが見られた一日でした。企業の脱炭素化への大型投資や、金融業界の気候目標緩和、新素材による循環型社会への貢献など、ESG担当者が注視すべき最新トピックを厳選してご紹介します。

目次

昨日のサステナビリティ最新トピック

1. マイクロソフト、史上最大規模のカーボンリムーバル契約を締結

マイクロソフトはFidelis社のAtmosClearと提携し、今後15年間で675万トンもの二酸化炭素を恒久的に除去する世界最大規模の契約を発表しました。これはバイオエネルギーとCCS(Carbon Capture and Storage)技術を組み合わせたものであり、米国ルイジアナ州で新設されるBECCS施設から排出されるCO₂が対象です。本プロジェクトには8億ドルが投じられ、およそ675人分の雇用創出や地域経済活性化にも寄与します。マイクロソフトは2030年までにカーボンネガティブ達成を掲げており、高品質かつ恒久的なカーボンリムーバル市場拡大への強いコミットメントが示されました。

(出典: https://esgnews.com/microsoft-signs-worlds-largest-permanent-carbon-removal-deal-with-fidelis-atmosclear/

2. Net Zero Banking Alliance(NZBA)、1.5℃目標から「2℃未満」へ方針転換

国連主導で120以上の銀行が加盟するNet Zero Banking Alliance(NZBA)は、「パリ協定」の「1.5℃目標」から「2℃未満」へと公式方針を緩和しました。背景には政策進展や産業界全体での移行ペース遅延、市場・法的・評判上の懸念などがあります。この決定は金融セクター全体として気候変動対策への野心低下とも受け止められており、一部ではグリーンファイナンス推進力低下や信頼性毀損につながるとの批判も噴出しています。一方で同アライアンスは実務支援強化や代替手法検討など、「実装フェーズ」重視へ舵取りしています。

(出典: https://esgnews.com/net-zero-banking-alliance-eases-climate-rules-retreats-from-1-5c-target/

3. サステナブル建材ACRE™ が再び「持続可能な製品賞」を受賞

米Modern Mill社製造による木材代替建材ACRE™ がGreen Builder Magazineより2025年度「Sustainable Product of the Year」に選ばれました。同製品は100%樹木不使用かつ完全リサイクル可能な素材構成となっており、生産過程でもゼロウェイスト運用・有害物質不使用という特徴があります。2024年だけでも6,000エーカー超相当分熱帯雨林保護・17,000本以上樹木伐採回避・250万ポンド超廃棄米殻再利用等、多面的な環境インパクト削減効果も報告されています。

(出典: https://www.prnewswire.com/news-releases/modern-mills-acre-named-2025-sustainable-product-of-the-year-by-green-builder-magazine-302428680.html

4. USC(南カリフォルニア大学)、温室効果ガス排出50%削減達成 ― 廃棄物90%削減目指す

USCは2014年以来、自校キャンパスにおける温室効果ガス排出量50%、水使用量25%以上削減という成果を公表しました。また使い捨てプラスチックボトル購入禁止措置導入以降500万本以上回避し、ごみ分別率54%まで向上させています。「Assignment: Earth」と題した独自フレームワーク下、LA28五輪以降も含めた長期戦略としてScope1/2排出ゼロ達成目前です。

(出典: https://today.usc.edu/uscs-sustainability-initiatives-produce-remarkable-results/

5. 脱塩プラント廃液問題解決へ ― 新型膜技術開発進む

乾燥地帯等で急増する海水淡水化プラント由来廃液問題について、新しい電気駆動型膜技術によって有害ブライン廃棄物大幅削減につながる研究成果が発表されました。この技術革新により淡水供給拡大と同時に生態系負荷軽減にも期待できます。

(出典: https://www.sciencedaily.com/news/earth_climate/sustainability/

6. カーボン地下貯留適地特定研究 ― 地質学的安全性評価深化へ

ミシガン州立大学等による共同研究では、大気中CO₂ の地下貯留適地特定手法について新知見が得られています。微細孔隙岩層と高密度キャップ岩層組合せ評価など、安全かつ長期安定したCO₂ 貯留実現へ向けた基礎科学面から社会実装加速につながります。

(出典: https://www.cmich.edu/news/details/from-fossilized-past-to-sustainable-future-finding-the-right-rock-cap

7. Allentown市、市民参加型サステナビリティ調査開始 ― 気候行動計画策定加速 

米ペンシルベニア州Allentown市ではEarth Month施策として住民意見反映型アンケート調査開始し、新たな都市気候行動計画づくり推進中です。地域コミュニティ主体参画モデル事例として注目です。

(出典: https://www.allentownpa.gov/en-us/News/News-Archive/Archive/allentown-launches-sustainability-survey-to-shape-climate-action-plan_131035

8. ELC社、「Earth Day」に合わせ全ライフサイクル対応強化宣言 

Estée Lauder Companies (ELC) はEarth Day直前声明として、自社商品ライフサイクル全般―原材料調達~生産~流通~消費後処理―各段階ごとの持続可能性配慮徹底姿勢ならびに今後さらなる改善努力継続意思表明しました。

(出典: https://www.elcompanies.com/en/news-and-media/newsroom/company-features/2025/elc-earth-day)  

まとめ

2025年4月15日は、グローバルトップ企業による脱炭素投資拡大 / 金融機関ネットワーク内で気候変動対応基準緩和 / サーキュラーエコノミー志向建材普及 / 大学主導都市モデルケース創造 / 科学技術革新によるインフラ課題解決など、多角的な潮流が鮮明になりました。

一方、「ネットゼロ」「脱炭素」の旗印そのものについても現場レベルでは柔軟対応 / 現実路線志向への転換兆候もうかがえます。そのためESG担当者には、“数値目標” のみならず “具体的取組内容” “透明性ある情報開示” “科学根拠ある説明責任” の三位一体推進こそ重要となります。

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