サステナビリティの分野では、規制環境が常に変化しています。2025年5月24日、EUのサステナビリティ報告に関する重要な動きが見られました。欧州理事会が企業のサステナビリティ報告義務の簡素化に向けた妥協案を示し、これが今後の企業のESG開示要件に大きな影響を与える可能性があります。本日のコラムでは、この動きを中心に、昨日発表された最新のサステナビリティ関連ニュースをお届けします。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. EUサステナビリティ報告改革に関する妥協案が浮上
2025年5月23日、欧州理事会はCOREPER(常駐代表委員会)会合において、EUのサステナビリティ報告法の改革に関する潜在的な妥協案を示す指針文書を回覧しました。この文書によると、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)の簡素化については合意が形成されつつありますが、企業サステナビリティデューデリジェンス指令(CSDDD)については見解が分かれていることが明らかになっています。
特に注目すべき点として、理事会はCSRDの報告閾値を引き上げることを支持しており、これにより最大80%の企業がCSRDコンプライアンスから免除される可能性があります。
2022年に採択されたCSRDと2024年に可決されたCSDDDは、欧州グリーンディールの企業説明責任フレームワークの中心的な柱でした。CSRDは詳細なサステナビリティ開示を義務付け、CSDDDは企業にバリューチェーン全体でのESGコンプライアンスを確保するための法的義務を課すものです。
2024年の欧州選挙での政治的変化により、これらの規制に対する反発が生じ、欧州委員会は「オムニバス簡素化パッケージ」を提案し、実施を遅らせるための「時計を止める」指令を発行しました。
CSRDとCSDDDの要件の縮小は、企業のサステナビリティの透明性と説明責任に関する最も先進的な規制フレームワークの一つが希薄化するリスクをはらんでいます。
2. カーニーのエネルギー責任者、オイルサンド企業に炭素回収システム構築を促す
カナダの新エネルギー大臣は、オイルサンド産業向けの炭素回収システムの構築が極めて重要であると述べ、原油と天然ガスを特定しました。この発言は、カナダのエネルギー政策における炭素回収技術の重要性を強調するものであり、化石燃料産業の脱炭素化に向けた取り組みを示しています。
まとめ
2025年5月24日のサステナビリティ関連ニュースでは、EUのサステナビリティ報告改革に関する妥協案が最も注目すべき動きでした。欧州理事会がCSRDの簡素化と報告閾値の引き上げを支持する姿勢を示したことで、多くの企業がCSRDコンプライアンスから免除される可能性が高まっています。
この動きは、2024年の欧州選挙後の政治的変化を反映したものであり、欧州のサステナビリティ規制の方向性に大きな転換をもたらす可能性があります。企業のサステナビリティ担当者は、今後のEUの規制環境の変化に注意を払い、自社の開示戦略を適応させる必要があるでしょう。