2025年6月16日は、サステナビリティ分野で多様な動きが見られた一日でした。米国ワシントン州によるクリーン燃料政策のアップデート提案や、持続可能な建築推進団体の再編成、さらには世界規模で知見を共有するSRI2025国際会議の開幕など、各地で新たな取り組みや議論が始まっています。本コラムでは、その中でも特に注目すべき最新動向を厳選し、ご紹介します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. クリーン航空・大型車両向け新インセンティブ提案(ワシントン州)
ワシントン州エコロジー省は、「クリーン燃料基準(Clean Fuel Standard)」の改定案を発表しました。今回の改定では、とくに航空業界および大型トラック輸送分野への脱炭素化インセンティブ強化が盛り込まれています。これまで主に自動車用燃料に焦点を当てていた同政策ですが、新たな提案ではバイオジェット燃料や再生可能ディーゼルなど次世代エネルギー導入促進策も拡充される予定です。この動きは全米でも先駆的であり、今後他州への波及も期待されています。
2, グリーン建築推進団体「Build Green Long Island」ブランド刷新
ニューヨーク・ロングアイランド地域で活動する持続可能建築推進団体「Build Green Long Island」が、自らのミッションと戦略的方向性を明確化するためブランド刷新を発表しました。同団体はLEED認証講座や継続教育プログラム等によって専門人材育成にも注力しており、その成果として地域内新規プロジェクトへのグリーン基準適用率向上が報告されています。また、省エネ要件強化や認証取得奨励策など地方自治体との連携も活発です。今後はさらに政策提言活動とネットワーク拡大へ注力するとしています。
(出典:https://libn.com/2025/06/16/green-building-chapter-rebrands-on-long-island/)
3. SRI2025:世界最大級サステナビリティ会議 シカゴ開催スタート
6月16日より米国シカゴ市にて「Sustainability Research and Innovation Congress 2025(SRI2025)」が開幕しました。今年初めてアメリカ本土開催となった本会議には80か国以上から2,000名超の研究者・実務家・政策担当者等が参加し、「Pathways to Sustainability」をテーマに実践的アプローチと成功事例共有、多様性ある未来社会構築へ向けた討論・交流が行われます。本イベントは単なる学術集会ではなく、現場実装につながる知識循環型プラットフォームとして位置付けられている点も特徴です。
まとめ
昨日6月16日は、「移行期」にある主要産業分野――特に運輸部門――への脱炭素インセンティブ強化策(ワシントン州)、地域密着型グリーン建築推進組織による人材育成と制度設計支援(ロングアイランド)、そしてグローバルレベルで最先端知見交換と協働促進を図るSRI国際会議開幕という三つ巴の重要ニュースが相次ぎました。それぞれ異なるスケール感ながら、“現場起点”かつ“社会変革志向”という共通軸があります。
特筆すべきは、従来型施策から一歩踏み込み、新技術導入支援や多層的パートナーシップ形成へ舵切りする流れです。また、人材育成×制度設計×情報循環という三位一体モデルこそ、日本企業にも示唆深いものと言えるでしょう。今後も国内外問わず、このような複合的アプローチ事例から学び、自社戦略立案へ活かしていくことが求められます。