2025年6月20日は、グローバルにおいてサステナビリティ分野で多様な動きが見られた一日でした。環境保全の長期的な取り組みから、最先端バイオマテリアル技術の進展、大手企業によるESG報告書の発表、そして規制面での重要判決まで、多角的なニュースが発信されています。本コラムでは、その中でも特筆すべき最新トピックを厳選し、日本国内ではあまり知られていない海外や専門性の高い情報も交えながら要約・解説します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. ロングアイランド湾保全40周年:新たな管理計画策定へ
米国環境保護庁(EPA)と州パートナーは、ロングアイランド湾(Long Island Sound)の保護・再生に向けて40年間続く協働を祝し、新たな「Conservation and Management Plan(CCMP)」を発表しました。過去40年で窒素削減や沿岸生態系回復など顕著な成果を上げており、新計画は今後も地域社会と自然資本双方への持続可能性向上を目指します。これまでに2,400エーカー以上の沿岸生息地回復や8,000エーカー超の追加保護、水系再接続など実績も明示されました。
2. バイオマテリアル革新:Modern Meadow社が伝統産業との共創強化
米バイオマテリアル企業Modern Meadowは、「Partners in Sustainability」と題したプレスリリースで、伝統的タンナー産業との連携強化による次世代素材開発戦略を公表しました。同社CEOデービッド・ウィリアムソン博士は「持続可能性を“選びやすく”すること」を掲げ、生物由来素材による既存産業支援型アプローチへの転換姿勢を鮮明にしています。消費者志向と規制圧力が高まる中、“置き換え”ではなく“共創”によって脱炭素社会実現へ貢献する点が注目されます。
(出典:https://www.newswire.com/news/modern-meadow-partners-in-sustainability-22566242)
3. Linde社:2024年度サステナブル開発レポート公開
世界的大手ガスメーカーLinde(リンデ)は、「2024 Sustainable Development Report」を公開しました。本レポートでは同社グローバル事業全体における温室効果ガス排出削減進捗、安全衛生活動、人権尊重施策等について詳細に報告しています。特に水素関連事業拡大や循環型経済推進への投資状況など、多国籍企業ならではの包括的ESG対応方針が示されています。
(出典: https://www.linde.com/news-and-media/2025/linde-publishes-2024-sustainable-development-report)
4. 米最高裁判決:カリフォルニア州自動車排ガス規制承認問題でEPA支持判決下る
米連邦最高裁は「Diamond Alternative Energy, LLC v. EPA」事件について意見書(06/20/2025付)を公表し、カリフォルニア州独自自動車排ガス基準導入についてEPA承認判断を支持する内容となりました。この判決はクリーンエネルギー移行政策推進、および各州独自気候変動対策権限確立という観点から極めて重要です。今後、自動車メーカー等にはより厳格かつ多様化した規制対応力が求められるでしょう。
(出典:https://www.supremecourt.gov/opinions/24pdf/24-7_8m58.pdf)
5. サステナビリティ/ESG速報:「会計士と自然資本」ウェビナー開催案内ほか欧州情報まとめ
英国勅許会計士協会(ICA)より週次Sustainability/ESG Bulletin(6月20日号) が配信されました。「Why Nature Matters to Accountants」と題したウェビナー案内ほか、公正移行(Just Transition)関連ニュース等ヨーロッパ中心情報です。財務専門家視点から自然資本評価・開示義務拡大傾向にも触れています。
(出典:https://www.charteredaccountants.ie/News/sustainability-esg-bulletin-20-june-2025)
まとめ
昨日6月20日は、「地域×長期×協働」による海洋生態系管理モデル刷新(ロングアイランド湾)、伝統産業との共創型バイオマテリアル普及戦略(Modern Meadow)、グローバルトップ企業による透明性あるESG報告深化(Linde)、そして法制度面でもクリーンモビリティ加速につながる歴史的司法判断――というように、多層的かつ実践志向型サステナブル経営潮流が際立ちました。
特筆して伝えたい内容として、本日は【米最高裁によるカリフォルニア州独自排ガス基準容認=各国・各地域ごとの気候変動対策主導権時代到来】というインパクトある出来事をご紹介します。この判決は単なる一地方行政判断以上の意味合いがあります。“中央集権vs分散主義”という構図だけでなく、市場参加者それぞれが主体となり脱炭素競争力強化へ舵切りできる時代になったこと――これは日本企業にも直接波及するテーマです。
また、一方通行型技術革新だけでなく既存プレイヤー巻き込み型ソーシャルトランジション促進例としてModern Meadow社モデルも参考になります。「持続可能性=負担増」という固定観念から脱却し、“選ばれる”“使われ続ける”ためには何より現場起点・共感起点こそ不可欠だと言えるでしょう。
引き続き当コラムでは、日本語圏のみならず世界最前線から得られる知見をご紹介してまいります。