2025年7月11日は、グローバルなサステナビリティ分野で注目すべき動きが複数見られました。特にアフリカ諸国による大規模な海洋保全への新たな誓約や、欧米・アジアの企業・行政による先進的取り組みが発表され、ESG推進担当者にとっても示唆に富む一日となりました。本コラムでは、その中でも特筆すべき最新トピックを中心に、昨日投稿された主要ニュースや論文を要約し、ご紹介します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. アフリカ8カ国、「2030年までに自国管轄下の海域100%持続可能管理」を宣言
2025年7月11日、アンゴラ・ベナン・カメルーン・コンゴ共和国・コートジボワール・赤道ギニア・リベリア・ナイジェリアの8か国は、「ヤウンデ宣言」に署名し、自国内の全ての海域を2030年までに持続可能な形で管理することを誓いました。この宣言はガルフオブギニア青い経済会議(Yaoundé, Cameroon)で採択されました。
各国は今後、「Sustainable Ocean Plans(SOPs)」と呼ばれる国家戦略を策定し、違法漁業対策や沿岸生態系保護など多角的施策を展開していく予定です。WRI AfricaディレクターWanjira Mathai氏は「この地域横断型コミットメントこそが真の変革につながる」とコメントしています。
(出典:https://www.wri.org/news/statement-8-african-nations-commit-100-sustainable-ocean-management)
2. Comau社、中国市場で長期的サステナビリティ戦略が評価され受賞
イタリア系産業オートメーション大手Comau社は、中国イタリア商工会議所主催「Panda d’Oro Ceremony」にて2025年度サステナビリティ賞を受賞しました。同社は1997年以来中国市場で事業展開し、省エネ化やグリーン製造支援など幅広い分野で技術革新と現地R&D強化による貢献が認められています。電動化、自動車OEM向け低炭素ソリューション、水素エネルギーや太陽光発電等、新領域にも積極投資している点も高く評価されています。
3. 米EPA、ニューハンプシャー州スーパーファンドサイト飲料水汚染対策案公表―市民参加型プロセスへ移行
米環境保護庁(EPA)はニューハンプシャー州Londonderry地区Tinkham Garage Superfund Site周辺住民向け飲料水汚染問題について、新たな暫定対策案(interim remedy)を公表しました。今後1ヶ月間パブコメ期間として市民意見募集および説明会開催、市民参加型意思決定プロセスへの移行姿勢も明確になっています。最終決定は9月予定。
4. 欧州:気候政策エンゲージメント情報開示義務化へ―インベスター連合報告書公開/英国Net Zero Week開催中
非営利シンクタンクInfluenceMapおよび欧州機関投資家連合(BNP Paribas AM他)は、「気候政策エンゲージメント情報開示」の義務化推進について解説した“Investor Explainer”レポートを共同発表しました。この報告書では企業による政策ロビー活動内容等の透明性確保こそ投資家視点から重要との立場です。また英国では公式“Net Zero Week”期間中となり、多様な産官学イベントが開催されています。
(出典:https://www.charteredaccountants.ie/News/sustainability-esg-bulletin-friday-11-july-2025)
まとめ
昨日7月11日は「ブルーエコノミー」分野、とりわけ途上地域から先進事例となりうる歴史的コミットメント――西アフリカ諸国による自国内全海域100%持続可能管理宣言という画期的ニュースがありました。また中国市場×欧州企業連携モデルとしてComau社受賞事例、大規模汚染サイト対応への米EPA新方針、公正かつ透明性あるESG情報開示体制構築へ向けた欧州市場プレイヤーらの提言など、多様かつ実践志向型の記事群も目立ちます。
これらはいずれも
– 地域横断型協働
– 科学根拠重視
– 市民参加/透明性強化
という現代ESG経営潮流そのものです。