2025年7月16日は、世界各地でサステナビリティに関する重要な動きが見られました。特にインドの州政府による再生可能エネルギー政策の強化や、米国企業の「グリーンハッシュ(Greenhushing)」傾向、そして製造業界での水使用削減技術など、多様な分野で持続可能性への取り組みが進展しています。本コラムでは、その中でも特筆すべき最新トピックを厳選し、日本国内ではあまり報道されていない海外・専門領域の記事やニュースリリースを中心にご紹介します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. インド各州による再生可能エネルギー政策と気候戦略の加速
インドでは複数州が新たな環境・エネルギー政策を発表しました。アンドラプラデシュ州は「ファイブポイント気候戦略」を採択し、省エネ推進、大規模植林活動、グローバルベストプラクティス導入などSDGs達成へ向けた包括的施策を開始。またビハール州は「再生可能エネルギーポリシー2025」を承認し、2030年度までに約24GWの再生可能電力導入と6.1GWh蓄電容量確保という野心的目標を掲げています。これらプロジェクトには税制優遇や土地転用費用免除など多様なインセンティブも盛り込まれています。さらにカルナータカ州では分散型太陽光発電(Distributed Solar PV Plants)への制度拡充とバーチャルネットメータリング等、新しい仕組みも導入されました。
(出典:https://www.csis.org/analysis/states-weekly-july-16-2025)
2. 製造業界:ウェットプロセス技術による水使用量大幅削減
太陽光パネル製造工程などで使われるウェットプロセス分野でも革新的な動きがあります。RENA Technologies社は、水消費量最大54%削減を実現する新しい化学洗浄システムを開発・提供しており、「持続可能性=コスト増」という従来イメージから、「持続可能性=価値創出」へ転換する事例となっています。同社ソリューションは省資源・省エネ・廃棄物低減効果も高く、生産効率向上と投資回収期間短縮にも寄与しています。
(出典:https://www.rena.com/en/news-events/news/news-details/driving-sustainability-wet-processing)
3. 米国企業:「グリーンハッシュ」傾向強まる中でも投資維持/拡大
EcoVadis社調査によれば、米国企業400社超へのアンケート結果として、「政治的逆風」にもかかわらず48%がサステナビリティ投資額維持、31%がむしろ増額していることが明らかになりました。一方で広報活動は控えめとなっており、“Greenhushing”(積極的PRせず静かに推進)が顕著です。この背景には政権交代後のESG批判や社会的議論活発化がありますが、多くの企業は依然としてサプライチェーン全体で環境配慮型経営を重視しています。
4. ボストン市:ポリスチレン製品禁止条例審議―環境正義とレジリエンス強化へ
米ボストン市議会では7月16日、公害防止委員会主導によるポリスチレン(発泡スチロール)製品全面禁止案について公聴会が開催されました。同市環境局長Alice Brown氏ら行政幹部から、水質保全、大気汚染対策、ごみ循環経済推進等との連携施策について説明。「公平かつ段階的」移行計画づくりへの意欲も示されています。このような都市レベルでの規制強化は今後他都市にも波及すると考えられます。
(出典:https://www.youtube.com/watch?v=3BoGFb1DvGk)
まとめ
昨日投稿された記事やニュースから読み取れる最大の特徴は、「地域ごとの具体策深化」「産業界主導イノベーション」「ESG潮流下でも静かな継続投資」という三つです。
特筆すべき点として、本日はインド各地政府による大胆な再生可能エネルギー政策刷新、および米国民間部門内外問わぬ“静かな”ESG投資継続姿勢でした。また先端技術領域でも、省水型ウェットプロセス装置普及など脱炭素社会実現へ直結するソリューション開発事例が登場しています。
一方、市民生活密着型課題としてボストン市ポリスチレン規制審議もあり、“公平性” “包摂性” “循環経済” の観点から今後日本自治体にも参考となります。