2025年7月19日は、世界のサステナビリティ分野で複数の重要な動きが見られました。特に注目すべきは、米国環境保護庁(EPA)の大規模な組織再編と人員削減、エジプト金融機関によるESG推進の新たな取り組み、そして医療業界における持続可能性推進イベントの開催です。本コラムでは、それぞれの記事やニュースリリースを要約しつつ、昨日発表されたサステナビリティ関連の最新動向を解説します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. 米国環境保護庁(EPA)、研究部門を廃止し数千人規模で職員削減
米国環境保護庁(EPA)は7月19日付で、その中核的役割を担ってきた「研究開発局(Office of Research and Development)」を廃止し、新たに「応用科学・環境ソリューション局」を設立すること、および数千人規模で職員削減を実施することを発表しました。これにより同庁全体のスタッフは1万2448名となり、大統領就任時から23%もの大幅減となります。長年にわたり科学的根拠にもとづく政策形成や健康・環境保護活動を支えてきた同部門が消滅することで、「科学的知見にもとづく政策決定」への影響や、人材流出による専門性低下などが懸念されています。
2. https://www.edf.org/media/friday-night-firings-epa-scientists-endanger-health-and-safety-americans)
また、この決定については市民団体や専門家からも強い懸念が示されており、「クリーンエア法」「クリーンウォーター法」など歴史的成果につながった科学者コミュニティへの打撃として報じられています。
2. エジプト:Suez Canal Bank がCRIF Egyptと提携しESG評価プラットフォーム導入へ
エジプトではSuez Canal BankがCRIF Egypt社とのパートナーシップ契約締結を発表しました。同銀行はESG評価・管理ツール「Synesgy」を導入し、自行顧客企業向けワークショップも開催。これにより企業の日常業務へ持続可能性基準統合やKPI設定、高度なESGコンプライアンス評価等が可能となります。この取り組みは同行自身のみならず取引先企業全体へも波及効果が期待されており、「責任ある意思決定」と「持続可能な経済成長」の両立モデルとして注目されています。
3. 米国:AHA サステナビリティ・サミット 2025 開催 ― 医療分野で加速する脱炭素化議論
米テネシー州ナッシュビルでは7月19日、「AHA サステナビリティ・サミット 2025」が開催されました。本イベントには病院経営層や医療現場責任者ら多数が参加。「グリーンホスピタル」の実現戦略、省エネ技術導入事例、多様化する患者ニーズへの対応策など、多角的視点から医療業界全体の脱炭素化推進策について議論されました。またネットワーキングセッション等も充実しており、今後各地病院間連携によるベストプラクティス共有促進にも期待されています。
(出典: https://www.aha.org/education-events/aha-sustainability-summit-2025)
まとめ
昨日7月19日は米国EPAによる前例ない大規模改革という衝撃的ニュースが最大級インパクトでした。これは単なる行政再編以上に、「科学的人材基盤」として世界でも高い信頼性を誇っていたEPA研究部門そのものへの信頼揺らぎにつながっています。一方、中東地域では金融機関主導型ESG推進事例としてSuez Canal Bank×CRIF Egypt提携という新潮流も生まれており、新興市場でもデータドリブンかつ透明性あるガバナンス強化志向が鮮明になっています。またヘルスケア分野でも北米中心に脱炭素社会構築へ具体策検討フェーズ入りしたことは、日本国内外問わず参考になるでしょう。
本コラム執筆時点では他にも多様な話題がありますが、とくに「公的セクター×民間セクター双方で“持続可能性”概念そのものへの問い直し/深化」が加速した一日だったと言えます。