2025年7月24日は、サステナビリティ分野で国際的に重要な動きが複数報じられた一日となりました。特に、地球の生態資源消費が限界を超える「アース・オーバーシュート・デー」の到来、米国・メキシコ間の越境環境問題解決に向けた歴史的合意、WHOによる環境と健康の国別スコアカードの発表、そしてインパクト投資によるSDGs推進資金の大規模動員が注目されます。以下、各トピックの要約とともに、昨日のサステナビリティの最新動向を解説します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. アース・オーバーシュート・デー2025:人類の生態資源消費が限界を突破
2025年のアース・オーバーシュート・デーは7月24日に到来しました。これは、地球が一年間に再生できる生態資源を人類が使い果たした日を示します。つまり、7月24日以降は「借金」で地球資源を消費している状態です。年々この日は早まっており、持続可能な資源利用への転換が急務であることを改めて示しています。企業や自治体には、資源効率化や循環型経済への移行、サプライチェーン全体での環境負荷低減が強く求められています。
(出典: https://www.altruistiq.com/state-of-sustainability/resource/earth-overshoot-day-24th-july-2025)
2. 米国・メキシコ、ティフアナ川越境汚染問題で恒久的解決に向けた合意
米国環境保護庁(EPA)は、米国とメキシコがティフアナ川の長年にわたる越境下水汚染問題の恒久的解決に向けて合意したと発表しました。両国は、南カリフォルニアの国際下水処理場の能力を増強し、2025年8月末までに処理能力を40%増強する計画です。さらに、年内に新たな協定(Minute)を締結し、12以上の具体的な対策を盛り込む予定です。国境を越えた水環境問題の解決に向けた、画期的な官民連携の事例として注目されます。
3. WHO、194カ国の「健康と環境」スコアカードを発表
世界保健機関(WHO)は、194カ国を対象とした「健康と環境」スコアカードの2024年版を発表しました。大気汚染、不衛生な水・衛生、気候変動、生物多様性の喪失、化学物質曝露など8分野で各国の取り組みを評価し、今年からは総合スコアも導入。環境リスクが全疾病負担の25%に関与していることを強調し、各国政府に対し、クリーンな空気や安全な水、気候変動対策への投資を呼びかけています。企業にとっても、国際的な健康・環境基準への対応や、サプライチェーン全体でのリスク管理が一層重要となります。
4. ゼロギャップ・ファンド、SDGs推進のため10億ドル超の民間資本を動員
ロックフェラー財団とマッカーサー財団が共同運営するゼロギャップ・ファンド(Zero Gap Fund)は、2024年末までに12件のインパクト投資を通じて10億5000万ドル超の民間資本を動員したと発表しました。ファンドは、リスク耐性の高い資本を活用し、スケーラブルな社会課題解決型ビジネスへの投資を推進。SDGs達成に向けた資金ギャップ解消のため、民間資本の役割がますます重要になっていることを示しています。ESG投資やインパクト投資の潮流は今後も加速が見込まれます。
5. 米国・カナダ間の水資源・エネルギー取引を巡る新たな摩擦
米国とカナダの間で、水資源とエネルギーの越境取引に関する新たな暫定合意が報じられました。米国がカナダへのエネルギー供給を段階的に最大50%削減する提案を行い、カナダ国内では資源ナショナリズムとグローバリズムの対立が激化しています。気候変動や水ストレスの高まりを背景に、国際的な資源配分やエネルギー安全保障の議論が一層複雑化していることが浮き彫りとなりました。
まとめ
2025年7月24日は、地球規模の資源消費の限界を象徴する「アース・オーバーシュート・デー」の到来とともに、国際的な環境・資源問題の解決に向けた具体的な合意や新たな摩擦、そしてSDGs推進のための資金動員など、サステナビリティ分野で多角的な動きが見られました。特に、WHOの健康・環境スコアカード発表やゼロギャップ・ファンドによるインパクト投資の拡大は、企業のESG戦略やリスク管理、資本調達のあり方に直結する重要なトピックです。
本日の目玉は、アース・オーバーシュート・デーの到来と米国・メキシコ間の越境環境問題解決に向けた歴史的合意です。これらは、企業が自社のサステナビリティ戦略を再点検し、グローバルな規範や社会的要請に応えるための行動を加速する契機となるでしょう。