2025年7月25日は、サステナビリティ分野において世界的に注目すべき動きが複数見られました。特に、企業のサステナブルパッケージング目標の見直し、米国の太陽光発電政策の大転換、アイルランドのグリーン調達推進、米墨間の越境環境問題解決に向けた合意など、政策・企業戦略・国際協力の各側面で重要な進展が報じられています。本コラムでは、昨日発表された主要な記事・ニュースリリース・論文を要約し、サステナビリティの最新動向を解説します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. サステナブルパッケージング目標の見直しと立法主導への転換
世界の多くの企業が自主的に掲げてきた2025年のサステナブルパッケージング目標の約90%が未達成に終わる見通しであり、2028年までに約75%の企業がこれらの自主目標を廃止する方向にあると、コンサルティング会社Gartnerが発表しました。今後は、拡大生産者責任(EPR)法など新たな立法ガイドラインへの適合が企業戦略の中心となる見込みです。Gartnerは、企業が今から法規制への適応を進めることの重要性を強調しています。
(出典: https://www.packagingdive.com/news/gartner-sustainable-packaging-targets-sunset-legislation/753914/)
2. 米国太陽光発電産業への大打撃:「One Big Beautiful Bill Act」による税制優遇の早期終了
米国では「One Big Beautiful Bill Act」の成立により、住宅・商業用太陽光発電プロジェクトへの税制優遇措置が予定より早く終了することとなり、ペンシルベニア州をはじめとする太陽光発電関連企業や製造工場の将来が不透明になっています。既にインディアナ州やミネソタ州の新規工場計画が中断・見直しとなり、業界全体に大きな影響が及んでいます。一方、トランプ大統領は天然ガス・原子力発電への投資を強調していますが、再生可能エネルギーの成長鈍化が懸念されています。
(出典: https://www.alleghenyfront.org/pennsylvanias-solar-tax-credits-big-beautiful-bill/)
3. アイルランド、グリーン公共調達の推進とSDGs週間の開催
アイルランド政府は、国連「持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(HLPF)」で持続可能な開発へのコミットメントを再確認し、グリーン公共調達(GPP)を全公共部門で推進する新たな方針を発表しました。今後はGPPの義務的な報告が求められ、進捗状況のモニタリングが強化されます。また、9月には第4回SDGs週間が開催され、持続可能な開発目標(SDGs)への理解と取り組みの促進が図られます。
(出典: https://www.charteredaccountants.ie/News/sustainability-esg-bulletin-friday-25-july-2025)
4. 米墨間の越境環境問題解決:ティフアナ川下水危機への合意
米国環境保護庁(EPA)とメキシコ環境天然資源省は、長年続いてきたティフアナ川の下水問題解決に向けた覚書(MOU)に署名しました。これにより、メキシコ側の未執行資金の活用やプロジェクトの早期完了、将来の人口増加や運用コストを見据えた新規事業の追加が合意されました。国境を越えた環境問題への協調的な対応が進展した形です。
まとめ
2025年7月25日は、サステナビリティ分野で以下のような重要な動きが見られました。
– 企業の自主的なサステナブルパッケージング目標の見直しと、法規制主導へのシフトが加速。今後はEPR法などの立法ガイドラインへの適合が企業戦略の中心となる。
– 米国の太陽光発電産業が政策転換により大きな打撃を受け、再生可能エネルギーの成長鈍化が懸念される一方、従来型エネルギーへの投資が強調されている。
– アイルランドではグリーン公共調達の推進とSDGs週間の開催が発表され、持続可能な調達とSDGsの普及が進む見通し。
– 米墨間の越境環境問題(ティフアナ川下水危機)に対する合意が成立し、国際協力による環境課題解決の好例となった。
特筆すべきは、企業のサステナビリティ戦略が自主目標から法規制適合へと大きく転換しつつある点です。今後、各国の政策動向や国際協力の枠組みが、企業のサステナビリティ活動に一層大きな影響を与えることが予想されます。