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米国EPAによる「エンデンジャーメント・ファインディング」撤回提案と、太陽光発電拡大のCO₂削減効果に関する新研究

2025年7月30日は、サステナビリティ分野で米国を中心に極めて重要な動きが複数報じられました。特に注目すべきは、米国環境保護庁(EPA)が気候変動政策の根幹を揺るがす規制撤回方針を発表したことと、ハーバード大学による太陽光発電拡大のCO₂排出削減効果を定量化した最新論文です。また、「サステナビリティ戦略の再定義」や「農業と食料安全保障」に関する専門的な議論も活発化しています。本コラムでは、それぞれの記事・論文の要点を整理しつつ、昨日世界で何が起こったか、その意義について解説します。

目次

 昨日のサステナビリティ最新トピック

1. 米国EPA、「エンデンジャーメント・ファインディング」撤回へ:気候政策基盤への重大な挑戦

米国環境保護庁(EPA)は2025年7月30日、「温室効果ガス(GHG)排出は公衆衛生および福祉に危険を及ぼす」とした2009年制定の「エンデンジャーメント・ファインディング」を撤回する方針を正式表明しました。この判断は連邦レベルで温室効果ガス規制の法的根拠そのものを覆すものであり、自動車や産業部門など幅広い分野へのGHG排出規制緩和につながる可能性があります。

この決定には新たなエネルギー省報告書(内容には気候懐疑派による主張も含まれる)が引用されており、今後パブリックコメント期間が設けられる予定です。もし最終決定されれば「米国史上最大級の規制緩和」となる見通しです。これに対して自然資源防衛協議会(NRDC)など主要環境団体は強く反発しており、科学的正当性や社会的影響について激しい議論が予想されます。

(出典:https://cen.acs.org/policy/regulation/EPA-rejects-key-finding-underpinning/103/web/2025/07

2. 太陽光発電15%増加で年間850万トン超CO₂削減:ハーバード大学等による高精度分析

同日公開されたハーバード大学公衆衛生大学院主導の研究では、「全米で太陽光発電容量が15%増加すると年間8.54百万トンもの二酸化炭素排出量削減につながる」と高精度シミュレーション結果が示されました。さらにカリフォルニア州単独でも隣接地域(日ごと最大1,942トン)のCO₂削減波及効果が確認されています。

本研究は膨大かつ高解像度なエネルギーデータ解析にもとづいており、「どこへ投資すれば最も効率よく脱炭素化できるか」という実務者向けロードマップとしても活用可能です。「セクター横断型連携」の重要性や投資優先順位付けにも具体的示唆があります。

(出典:https://hsph.harvard.edu/news/increasing-solar-power-could-lead-to-significant-cuts-in-co2-emissions/

3. サステナビリティ戦略再考:「人間中心」「協調型価値創造」の時代へ

BSR(Business for Social Responsibility)は同日付コラムで、「財務指標だけでは測れない、人々やコミュニティへの直接的便益」を重視した新たなサステナビリティ戦略転換を提唱しました。「競争優位性追求から共創型オペレーティング環境構築へ」という潮流変化、および不確実性時代におけるシナリオプランニング等持続可能経営手法強化への期待感も述べられています。

(出典:https://www.bsr.org/en/sustainability-insights/insights-plus/beyond-the-business-case-debate-reasserting-strategic-value-sustainability

4. セクター別温暖化寄与分析:政策設計高度化への貢献

Environmental Defense Fund (EDF) の支援によって公開された最新研究では、各産業セクターごとの温暖化促進/抑制要因について詳細解析されています。この知見は今後より精緻な気候政策立案や企業ごとの脱炭素ロードマップ策定にも応用可能となります。

(出典:https://www.edf.org/media/new-study-shows-how-sectoral-emissions-shape-todays-warming-and-tomorrows-risks)

5. 地域農業×食料安全保障:バイパーティザンサポート下、新法案提出 

アメリカ合衆国下院では地元農家とフードインセキュア層との橋渡し支援法案(超党派提出)が紹介されました。これはローカル経済循環促進のみならず、公平かつ持続可能な食料供給網構築という観点から注目されています。

(出典:https://sustainableagriculture.net/blog/release-bipartisan-house-bill-connects-local-farmers-to-food-insecure-communities/

まとめ

昨日は米国政府機関自体によって既存気候政策基盤そのものへの挑戦という歴史的局面となりました。一方、市場側・学術界からは再生可能エネルギー普及=即効性ある脱炭素策として明確数値根拠付き提言、新しい価値観にもとづく人間中心協調志向型ESG経営モデル推進論など、多様かつ高度専門領域から前向きメッセージも相次ぎました。また、産業横断型分析 地域循環共生圏形成など、日本企業にも直結するテーマ設定例として参考になるでしょう。

本日のコラム執筆時点でも引き続き関連情報収集・深掘り検証中ですが、とくにEPA規制撤廃問題についてはいち早い社内共有ならびにグローバル事業展開上影響評価をご検討いただくことを推奨します。同時並行して、科学ベース+社会価値重視+多様主体連携という三位一体モデル構築こそ、中長期競争力維持/強靱さ確保につながります。

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