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「国際会議シーズンの本格化と“評価・枠組み”の再注目

2025年8月12日は、国連系ネットワークによる政策・科学・連携のハブ化、企業の第三者評価(EcoVadis)を活用したESG実装の可視化、そしてサステナビリティ実務(IT・サプライチェーン・オーガニック市場)の運用面に関する最新アップデートが同日に相次ぎました。 本日の目玉は、国連「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」がハイレベル政治フォーラム(HLPF)で“科学・政策・パートナーシップ”の結節点としての役割を前面に押し出したことです。

目次

昨日のサステナビリティ最新トピック

1. SDSNがHLPF 2025で「科学・政策・連携」を前面化(国連系ネットワークの役割強化)

UN事務総長の後援下でSDGsの知識ネットワークを主導するSDSNが、HLPF 2025において科学的知見と政策、実装現場をつなぐプラットフォーム機能を強調し、持続可能な開発とパリ協定達成に向けた教育・研究・政策分析・国際協力を統合する姿勢を再確認。 また、6月末〜7月初の第4回「開発のための資金(FfD4)」国際会議で、持続可能な開発と気候アクションの資金動員戦略に関するサイドイベントを実施した蓄積も共有され、資金・政策・科学の接続性が論点化。

– 実務示唆: 科学ベースの政策対話に参画する企業・大学・シンクタンクの連携価値が上昇。自社のSDGs/パリ整合アクションをSDSNの教育・政策分析リソースと紐づけることで、国際交渉期の発信力と投資対話の一貫性を高められる可能性。HLPFアウトプットの国内実装(規制・調達・開示)を視野に、中計・人材育成・学術連携を再点検。

(出典: https://www.unsdsn.org

2. Michelman、EcoVadis「Gold」格付けを3年連続で取得(上位5%に相当)

水系コーティング等を展開するMichelmanが、EcoVadisのサステナビリティ格付けで3年連続「ゴールド」を獲得し、評価上位95パーセンタイルに入ったと公表。 供給網評価の普及が進む中、年次の継続獲得はガバナンス・環境・労働・持続可能な調達といった横断領域での改善サイクル定着を示唆。

– 実務示唆: 調達要件へのEcoVadis活用が一層一般化する見込み。自社・主要サプライヤーのスコア推移を中計KPIに組み込み、再評価までのアクション(是正・教育・監査)を前倒しで計画することが有効。上位パーセンタイルの定義・業種別ベンチマークと併せて、資本市場・顧客への対外説明に展開可能。

(出典: https://www.michelman.com/news/ecovadis-gold-sustainability-rating-third-consecutive-year/

3. サステナブルITの運用アップデート:MSP/チャネル向けニュースまとめ

MSP・チャネル事業者向けの「Sustainable IT News(8月12日号)」が公開。IT資産処分(ITAD)サービス企業の人事・ハイパースケーラ連携示唆、データセンターの高電力密度対応技術や大手との提携、太陽光関連のチャネル戦略転換(EV充電、マネージドサービス化)など、温室効果ガス削減とデジタルインフラ運用の交差領域でのトピックスが整理された。 生成AIワークロードの増加を背景に、データセンター効率、電力・パートナー網、循環型IT(リユース・リサイクル)への需要が拡大する潮流が読み取れる。

– 実務示唆: スコープ2/3の観点から、データセンター選定(電力密度・冷却・再エネ契約)とITADの透明性強化が重要。MSP経由の省エネ・リユース・EV充電運用のマネージド化は、サステナビリティKPIとITコストの同時最適に寄与。

(出典: https://sustainabletechpartner.com/news/sustainable-it-news-for-msps-and-channel-partners-12-august-2025/

4. 有機産業のESG価値の「語り方」を再設計:OTAサステナビリティ評議会

全米オーガニック業界団体のサステナビリティ評議会が、オーガニックをESG達成の有力手段として位置づけるための共通フレーム作成、主要CPGとの対話、次世代リーダー育成等の優先課題を紹介。 企業ESGの気候・生物多様性・再生型農業と、オーガニック調達の橋渡しに焦点を当て、複雑な指標を投資家・小売・消費者に届くナラティブへ翻訳する取り組みを進める。

– 実務示唆: 食品・日用品企業は、再生型・オーガニックの実装をScope3削減や自然関連リスク(TNFD)と接続する語り口の整備が要諦。社内での統合レポーティングとマーケティングの連携体制を見直し、サプライヤーエンゲージメントの指標設計を共通フレームに沿って再構築。

(出典: https://ota.com/news-center/advancing-organic-advantage-work-otas-sustainability-council

5. 参考:地域コミュニティの取組み

– ダートマス大学のサステナビリティ週間案内(8/11–17)。学生参加型のファーム作業やフリーマーケット等、キャンパスでの実践活動と雇用情報を告知。教育機関における行動変容と資源循環の草の根実装例として意義。

(出典: https://www.sustainability.dartmouth.edu/single-post/this-week-in-sustainability-august-11th-august-17th-2025

まとめ

– 国際動向: 国連系SDSNがHLPFで「科学・政策・パートナーシップ」の接続点としての役割を強調。政策対話の国際舞台で、研究・教育・実装の統合が企業のレジリエンス設計と投資家対話の鍵に。

– 市場・評価: MichelmanのEcoVadis Gold連続取得は、サプライチェーン評価の年次改善サイクル定着を象徴。主要顧客の調達基準・ファイナンスで第三者評価の重みが増大。

– 実務・技術: サステナブルIT領域で、データセンターの高負荷対応、ITAD、EV充電のマネージド化など、温室効果ガス削減とデジタル需要の両立に向けた運用ソリューションが進展。

– セクター横断の語り直し: オーガニック×ESGの価値を投資家・リテール・消費者に通じる共通フレームへ翻訳する試みが進む。Scope3やTNFDと結びつくストーリーテリングが次の競争軸。

本日の目玉は、SDSNによるHLPF場での「科学・政策・連携」を介した実装加速のメッセージです。規制・資金・知の三位一体が明確化する局面において、企業は学術・政策ネットワークとKPI・人材育成・調達の再設計を結び、来期のサステナビリティ投資の説得力を高める好機です。

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