2025年10月16日は、アジア太平洋地域を中心にサステナビリティ分野で重要な動きが相次ぎました。特にASEAN諸国による再生可能エネルギー導入目標の大幅な引き上げや、インドネシアによる国際的なカーボンクレジット取引の再開は、今後のグローバルな脱炭素化の流れに大きな影響を与えるものです。また、マレーシアの公的年金基金による気候投資ファンドの創設、米国カリフォルニア州の大気汚染規制維持、欧州保険業界からの社会不安リスク警告など、各国・各地域で多様なサステナビリティ施策が進展しています。本コラムでは、2025年10月16日に発表された最新のサステナビリティ関連ニュースや論文を要約し、昨日の主要な動向を解説します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
ASEAN、再生可能エネルギー導入目標を大幅引き上げ
ASEAN(東南アジア諸国連合)のエネルギー担当大臣らは、2030年までに再生可能エネルギーによる発電容量を45%、一次エネルギー供給の30%を再生可能エネルギーで賄うという新たな目標を承認しました。さらに、2005年比でエネルギー原単位(エネルギー消費効率)を40%削減する計画も盛り込まれています。従来の23%目標から大幅な引き上げとなり、東南アジアが世界のエネルギー転換を牽引する意思を明確に示しました。
インドネシア、国際的なカーボンクレジット取引を再開
インドネシアのプラボウォ大統領は、4年間停止されていた国際的なカーボンクレジットの越境取引を再開する大統領令に署名しました。これにより、国内外の企業は国連基準や国内基準に基づきカーボンクレジットを販売できるようになり、国内の排出削減目標達成と国際市場での取引が両立可能となります。
マレーシア公的年金基金、気候投資ファンド「Dana Iklim+」創設
マレーシアの公的年金基金KWAPは、20億リンギット(約4億7500万ドル)規模の気候投資ファンド「Dana Iklim+」を創設しました。インフラ、プライベートエクイティ、不動産、自然資本ソリューションなど多様な分野に投資し、2050年までのネットゼロ達成を目指します。
中国、自然災害による経済損失が3兆円超
中国の緊急管理省は、2025年1月から9月までの自然災害による経済損失が2170億元(約3兆470億円)に達したと発表しました。被災農地は53万ヘクタールに及び、気候変動の影響が経済・食料安全保障に深刻な影響を及ぼしていることが浮き彫りになりました。
欧州保険業界、社会不安リスクの高まりを警告
大手再保険会社ミュンヘン再保険の欧州CEOクラリス・コプフ氏は、経済成長の鈍化が社会不安や暴動リスクを高め、気候リスク管理を複雑化させていると警告しました。特に雹害やサイバーリスクも今後の重要課題として挙げられています。
カリフォルニア州、港湾の大気汚染規制を維持
米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、港湾の取扱量規制を制限する法案を拒否し、州の大気・気候汚染対策のための規制権限を維持する方針を示しました。連邦レベルでの規制緩和の動きがある中、州独自の厳格な環境規制を堅持する姿勢が明確になりました。
トーレ・プラスチックス(アメリカ)、国際サステナビリティ認証を拡大
トーレ・プラスチックス(アメリカ)は、国際的なサステナビリティおよびカーボン認証の取得範囲を拡大したと発表しました。これにより、同社の製品がグローバル市場での環境配慮型調達要件により適合しやすくなります。
セントクリストファー・ネイビス、特別サステナビリティゾーン法案のタウンホール開催
カリブ海のセントクリストファー・ネイビスでは、持続可能な島嶼国家政策の一環として「特別サステナビリティゾーン認可法案」に関するタウンホールミーティングが開催されました。首相や閣僚が出席し、地域の持続可能な開発推進に向けた議論が行われました。
サステナビリティ建設の実践に関する論考
米国建設大手マッカーシー社は、サステナビリティ建設の重要性と実践例を紹介する論考を発表しました。建設業界における持続可能な資材選定やエネルギー効率向上の取り組みが、将来の社会基盤形成に不可欠であることを強調しています。
まとめ
2025年10月16日は、ASEANの再生可能エネルギー目標引き上げやインドネシアのカーボンクレジット取引再開など、アジア太平洋地域を中心にサステナビリティ分野で大きな進展が見られました。これらの動きは、グローバルな脱炭素化や気候変動対策の加速に直結するものであり、今後の国際的な政策・市場動向に大きな影響を与えると考えられます。また、マレーシアの気候投資ファンド創設や中国の自然災害被害、欧州・米国での規制・リスク管理の強化など、各国・各地域で多様なサステナビリティ課題への対応が進んでいます。企業のサステナビリティ担当者としては、これらの国際的な動向を注視し、自社の戦略やリスク管理に反映させていくことが求められます。

