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循環経済への政策転換が加速、米国でREUSE法が上院を全会一致で可決

2025年12月1日、サステナビリティ関連の政策動向に大きな進展がありました。特に注目すべきは、米国の循環経済推進に向けた重要な法案が上院を通過したことです。同日に公開された業界レポートでは、リユース・リフィルシステムの構築に向けた具体的な取り組みが加速していることが明らかになりました。本コラムでは、昨日報告された主要なサステナビリティ関連ニュースをお届けします。

目次

昨日のサステナビリティ最新トピック

米国REUSE法が上院を全会一致で可決、循環経済への転換が本格化[1]

最も注目すべきニュースは、米国の上院がREUSE法(Research for Environmental Uses and Sustainable Economies Act)を全会一致で可決したことです。この法案は、消費者向けパッケージング、パーソナルケア製品、小売業の卸売配送など、様々な産業におけるリユース・リフィルシステムに関するデータ収集を米国EPA(環境保護庁)に義務付けるものです。

オレゴン州選出のジェフ・マークレー上院議員は、「長年にわたり私たちは『3つのR(リデュース、リユース、リサイクル)』を学んできたが、プラスチックの現実は『3つのB(埋立、焼却、海への流出)』である」とコメントし、本法案の重要性を強調しました。

本法案が成立すれば、EPAはリユース・リフィルシステムが最も効果的に機能する方法を理解した上で、全国でリユース・リフィルを推進するために必要な支援について、地方、州、連邦レベルでのガイダンスを提供することになります。これは、プラスチック廃棄物の削減と循環経済の構築に向けた米国の政策転換を象徴する重要な一歩となるでしょう。

出典

米国のEPR制度が急速に拡大、調和化への議論が活発化[1]

同日のレポートでは、米国における拡大生産者責任(EPR)制度の急速な拡大についても報告されています。現在、7つの州がパッケージング向けのEPR法を制定しており、これは全米人口の約20%をカバーしています。

しかし、州ごとの法律が異なることで、消費者負担の増加につながる可能性があります。業界パネルでは、消費者向けリサイクル材料の使用義務が、リユース・リフィルシステムの広範な採用を促進するために必要である可能性が指摘されました。この調和化に向けた議論は、企業のコンプライアンスコストを削減し、より効率的な循環経済システムの構築に向けた重要なステップとなります。

出典

米国プラスチック協定がケミカルリサイクルに関する立場表明を発表[1]

米国プラスチック協会(US Plastics Pact)は、プラスチックパッケージングの物理的・化学的リサイクルに関する立場表明書を公開しました。同協会は、これらの技術の責任ある統合を支持する一方で、削減、リユース、機械的リサイクルに取って代わるべきではないと明確に述べています。

また、用語の標準化が、異なる技術の明確な議論と一貫した評価を確保するために重要であることが指摘されました。この立場表明は、プラスチック廃棄物対策における技術的アプローチの多元性を認めつつ、優先順位を明確にするものとして、業界全体の指針となるでしょう。

出典

カナダの生産者責任機関がパッケージング設計の調和化に合意[1]

カナダでも循環経済推進に向けた重要な動きがありました。5つのカナダの生産者責任機関(PRO)が、2026年末までにリサイクル可能なパッケージング設計に関する調和化された全国ガイドラインを提供することで合意しました。

これらのPROは、ほとんどの州でパッケージング向けのEPR制度を管理しており、プラスチックガイダンスはプラスチックリサイクル協会の設計ガイドに基づいています。ほとんどの州がEPR法を採用しており、現在ではカナダ人口の99.9%がカバーされています。この調和化の取り組みは、北米全体での循環経済推進の加速を示す重要な事例となります。

出典

まとめ

2025年12月1日のサステナビリティ関連ニュースから浮かび上がるのは、**循環経済への政策転換が北米全体で加速している**という明確なトレンドです。

米国のREUSE法の全会一致での可決は、プラスチック廃棄物問題への対応が党派を超えた共通課題として認識されていることを示しています。同時に、米国内でのEPR制度の拡大とその調和化に向けた議論、カナダでのパッケージング設計ガイドラインの統一化など、複数の施策が並行して進行しています。

これらの動きは、企業にとって重要な示唆を持っています。第一に、リユース・リフィルシステムへの投資と準備が急務となっていること。第二に、州ごと・国ごとの規制の違いに対応するための戦略立案が必要であること。第三に、プラスチック削減に向けた多元的なアプローチ(削減、リユース、機械的リサイクル、ケミカルリサイクル)の中での自社の位置付けを明確にすることが重要であることです。

循環経済への転換は、もはや企業の社会的責任ではなく、規制対応の必須要件となりつつあります。クライアント企業におかれましては、これらの政策動向を注視し、サプライチェーン全体での対応体制の構築を急ぐことをお勧めします。

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