2025年7月20日に発表されたサステナビリティ関連の最新ニュースや論文を調査した結果、世界各地で多様な動きが見られました。特に、インドの銀行向け気候リスク開示ルール導入方針やケニアでの地熱利用による直接空気回収技術(DAC)の実用化進展など、ESG分野において注目すべき新たな潮流が明らかになっています。本コラムでは、昨日投稿された主要な記事・ニュースリリース・論文を要約し、その意義と今後の展望について解説します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. インド:銀行向け「気候リスク開示ルール」導入へ
インド政府は国内金融機関に対し、「気候変動関連リスク」の評価と情報開示を義務付ける新たな規則を数カ月以内に施行する方針を発表しました。これにより銀行は、自社ポートフォリオが直面する物理的・移行的な気候変動リスクについて定量的かつ定性的な報告が求められるようになります。この取り組みは国際的ESG基準との整合性強化、および金融セクター全体のレジリエンス向上につながるものです。
(出典:https://www.winssolutions.org/sustainability-in-the-news-july-15-20-2025/)
2. ケニア:地熱エネルギー活用による直接空気回収(DAC)技術実証プロジェクト始動
ケニア中部では、豊富な地熱資源を活用した「大気中二酸化炭素直接回収(Direct Air Capture, DAC)」技術のスケールアップ実証プロジェクトが開始されました。このプロジェクトは再生可能エネルギー由来の蒸気でCO₂除去装置を稼働させ、大規模炭素除去ソリューションとして期待されています。DAC技術普及への道筋となりうる重要事例です。
(出典:https://www.winssolutions.org/sustainability-in-the-news-july-15-20-2025/)
3. BP:米国陸上風力事業売却 ― 石油シフト鮮明に
BP社は米国内陸風力発電事業から撤退し、その資産売却契約締結を公表しました。同社は近年グリーン戦略推進から石油・ガス中心への経営転換圧力が高まっており、本件もその一環と位置付けられます。また同時期にはサステナビリティ戦略責任者も退任しており、大手エネルギー企業による脱炭素路線見直し傾向が浮き彫りとなりました。
(出典:https://energyindemand.com/2025/07/20/energy-in-demand-news-july-20-21-2025/)
4. フランス文化イベント:「観客移動」が最大排出源―持続可能性対応強化へ
フランス南部アヴィニョン演劇祭など複数文化イベントでは、「観客移動」が全体CO₂排出量の8割超という分析結果にもとづき、新たな持続可能性対策(外国団体招聘条件厳格化等)が導入されています。他地域でもローカル人材起用や観客数抑制策など、多様な工夫で環境負荷低減努力が進んでいます。
(出典:https://energyindemand.com/2025/07/20/energy-in-demand-news-july-20-21-2025/)
5. ニューメキシコ州:150MW太陽光発電所建設計画承認/日本:フレキシブル太陽電池普及加速へ期待感高まる
米ニューメキシコ州では新たに150MW規模太陽光発電所建設計画が承認されました。また、日本国内でも柔軟性ある次世代型太陽パネルへの投資拡大や市場成長予測記事も登場しています。それぞれ再生可能エネルギー拡大トレンド継続中です。
(出典:https://www.greenenergytimes.org/2025/07/july-20-green-energy-news-13/)
まとめ
昨日最も注目すべき話題として挙げたいのは、「インド政府による銀行等金融機関への『気候変動関連情報』開示義務付け方針」です。同国経済圏内外から巨額投融資マネーフロー集積先となっていることから、この制度設計次第ではグローバルESG投資基準にも波及効果があります。
また、BP社による再生可能エネ事業縮小や欧州文化イベント主催者側で顕在化する「間接排出削減」の課題など、多角的視点から“脱炭素”推進現場ならびにその逆風要因まで浮かび上がった一日でした。
さらに、新興国ケニアで始まった地熱×DAC融合モデルや北米・日本両市場で加速する再生可能エネ大型案件等、テクノロジー革新と制度改革双方から世界各地で具体的前進例も確認できています。
今後ともこうした海外先端事例・政策潮流にも着目しつつ、日本企業としてどこまで自社バリューチェーン全体最適につながる施策立案できているか――引き続き検証していく必要があります。