2025年7月21日に発表されたサステナビリティ関連の最新ニュースや論文から、グローバルで注目すべき動きを厳選し、要点をまとめました。昨日は「カーボンオフセット」の再定義や持続可能な農業資金調達危機、国際的なプロジェクト公開コメント募集など、多角的にESG・サステナビリティ分野が進展した一日でした。本コラムでは、その中でも特に「カーボンオフセットの限界」に関する議論を中心に、各トピックを解説します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. カーボンニュートラルとオフセット概念の再定義
米モーニングスターが2025年7月21日に発表した記事では、「カーボンニュートラル」や「オフセット」という用語について誤解が多い現状を指摘しています。特に、「カーボンニュートラル」は必ずしも排出量ゼロを意味せず、多くの場合は排出削減努力+クレジット購入による相殺で成り立っていることが強調されました。また、「オフセット」はあくまで補完策であり、本質的な削減努力なしには真の持続可能性は実現できないという警鐘も鳴らされています。企業や投資家へのメッセージとして、“本業での削減”こそ最優先事項だと明確化されました。
(出典:https://www.morningstar.com/news/accesswire/1050632msn/sustainability-concepts-defined)
2. 持続可能な農業研究への資金難 ― 米国研究者たちの苦悩
NPR Newsによれば、米国内では政府予算削減によって持続可能な農業分野への研究資金確保が困難になっています。これまで気候変動対策として期待されてきた土壌改良技術や低炭素型栽培法など、多様なイノベーション開発プロジェクトが停滞する恐れがあります。研究者らは民間助成金獲得など新たな資金源探しに奔走しており、公的支援縮小時代におけるアグリテック推進体制構築という課題感が浮き彫りとなりました。
3. 国際認証プロジェクト 公開コメント募集開始
世界最大級の炭素クレジット認証団体Verraは7月21日付けで、新規登録申請中プロジェクト12件について一般からパブリックコメント募集を開始しました。対象案件にはブラジル・マダガスカル等南半球諸国で展開するREDD+森林保全事業、大規模アグロフォレストリー導入計画、CO₂利用型コンクリート製造プラント等多岐にわたり、それぞれ8月中旬まで意見提出期間となっています。このような透明性向上施策は今後ESG投資家・企業双方から一層注目度が高まる見通しです。
(出典: https://verra.org/projects-open-for-public-comment-july-21-2025/)
4. マウイ郡 サステナビリティ助成制度説明会開催へ
ハワイ州マウイ郡環境管理局より、新設された「サステナビリティ助成制度」説明会開催案内(7月25日)が公表されました。本制度では非営利団体のみならず営利企業・個人も応募対象となり、生物多様性保全/廃棄物管理/エネルギー効率化/教育啓発など4分野へ幅広い支援枠組み提供予定です。「地域主導型」である点も特徴となっており、日本国内自治体にも参考になる先行事例と言えるでしょう。
(出典: https://www.mauicounty.gov/CivicAlerts.aspx?AID=17605)
5. バージニア州アーリントン郡 ESG推進パートナーシップ拡大
バージニア州アーリントン郡議会は、大手ESG推進NGO Ceresとの包括連携協定締結(MOA)を正式決定しました。同協力枠組み下では、中小企業向け気候変動適応力強化プログラム共同運営、市民参加型ワークショップ開催等、多層的かつ実践志向型施策展開予定です。「官民連携」「コミュニティ主導」を軸とした地方自治体モデルケースとして注目されています。
まとめ
昨日(7月21日)投稿された海外専門メディア及び公式ニュースソースから読み取れる最大のポイントは、従来型脱炭素戦略だけでは不十分、とする潮流加速です。
特筆すべき話題として、
- “カーボンニュートラル=排出ゼロ”という誤解是正
- 本質的排出削減努力重視への転換
- 途上国含む多様地域主体による森林保全・土地利用改善事例増加
- 地方自治体×NGO連携モデル拡大
こうした複合トレンドこそ、日本企業にも即時参照価値があります。
また、公的支援縮小下でも独自財源確保&市民参加促進による“自律分散型”サステナブル社会構築モデルへの移行期とも言えます。
今後、自社活動評価基準見直しや外部パートナーシップ戦略検討時には、
1. オフセット依存度低減+自主削減比率引上げ方針明示
2. 地域社会との共創機会探索
3. 国際認証取得案件ウォッチ&参画検討
これら具体施策につながる情報収集継続をご提案いたします。