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プラスチック条約交渉の加速と企業の気候行動の経済的リターン

2025年8月8日は、世界のサステナビリティ分野で複数の重要な動きが見られました。特に、プラスチック危機への国際的な対応強化、企業の気候変動対策の経済的価値に関する新たな報告、そして企業のサステナビリティ報告の進化が注目されます。本コラムでは、昨日発表された海外の専門性の高い記事やレポートを中心に、サステナビリティの最新動向を要約し、企業のサステナビリティ担当者が押さえておくべきポイントを解説します。

目次

昨日のサステナビリティ最新トピック

1. プラスチック危機への国際的対応が加速:100カ国以上が「プラスチック条約」交渉を推進

2025年8月8日、スイス・ジュネーブで100カ国以上が集まり、使い捨てプラスチックの段階的廃止とプラスチック生産削減を義務付ける国際条約の策定に向けた交渉が加速しています。背景には、1950年以降でプラスチック生産量が200倍に増加し、健康被害や環境コストが年間1.5兆ドルに達しているという新たな報告があります。国際社会は、プラスチック危機の深刻化を受け、法的拘束力のある枠組みの早期合意を目指しています。

また、イタリアがファストファッション大手Sheinに対し、環境に関する誤解を招く表示で100万ユーロの罰金を科すなど、グリーンウォッシュ対策の強化も進んでいます。これは、フランスによる同社への4,000万ユーロの制裁に続く動きであり、企業の環境情報開示の信頼性確保が国際的な潮流となっています。

(出典:  https://www.youtube.com/watch?v=g9fj4usF8cM

2. 企業の気候変動対策は「7倍の経済的リターン」:CDP新レポート

CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)が8月8日に発表した新レポートによると、気候リスクと機会に積極的に対応する企業は、投資額に対して最大7倍の経済的リターンを得ていることが明らかになりました。約25,000社の開示データを分析した結果、気候変動対策が単なるコストではなく、企業価値向上の大きなドライバーであることが示されています。ESG投資家や経営層にとって、気候行動の「投資対効果」が明確化された点は、今後の戦略策定に大きな影響を与えるでしょう。

(出典:  https://esgnews.com

3. TDK、サステナビリティ報告2025を発表:社会課題起点の事業創出を強調

TDK株式会社は8月8日、「サステナビリティ報告2025」を公開しました。本報告書では、社会課題の解決と企業価値向上の両立を目指す姿勢が強調されています。2025年4月に設立されたサステナビリティ委員会の活動や、SDGsへの具体的な取り組み事例が新たに追加され、CEO・CHRO・サステナビリティ委員長からのメッセージも掲載されています。今後も情報のアップデートを継続する方針が示されており、企業のサステナビリティ情報開示の高度化が進んでいます。

(出典: https://www.tdk.com/en/information/202508_02.html

4. 米国EPA、低所得層向け太陽光導入支援プログラムを中止

米国環境保護庁(EPA)は8月8日、バイデン政権下で創設された「Solar for All」プログラム(総額70億ドル)を正式に中止すると発表しました。ペンシルベニア州では、低・中所得世帯向けの屋根置き太陽光発電導入支援として1億5600万ドルの予算が割り当てられていましたが、州議会の承認が得られず、事業は未着手のまま終了となります。電力価格の高騰や電化の進展が進む中、再生可能エネルギー導入支援の後退は、今後のエネルギー政策や社会的インパクトに注目が集まります。

(出典: https://www.alleghenyfront.org/pennsylvania-epa-solar-for-all-cancelled/

まとめ

2025年8月8日は、プラスチック危機への国際的な対応強化と企業の気候変動対策の経済的リターンの可視化が、サステナビリティ分野の大きなトピックとなりました。特に、100カ国以上が参加するプラスチック条約交渉の進展は、今後のグローバルな規制動向や企業のサプライチェーン管理に直接的な影響を与える可能性があります。また、CDPの新レポートは、気候変動対策が企業価値向上の「投資」であることを裏付けており、ESG経営の推進力となるでしょう。

一方で、米国の再生可能エネルギー支援策の後退や、企業のグリーンウォッシュ対策の強化など、サステナビリティを巡る環境は依然として流動的です。企業のサステナビリティ担当者は、国際的な規制動向と投資家の期待の双方を的確に捉え、戦略的な情報開示と実効的な取り組みの両立が求められます。

今後も、グローバルなサステナビリティ動向を注視し、企業価値向上と社会的責任の両立を目指す取り組みが一層重要となるでしょう。

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