2025年9月8日に発表されたサステナビリティ関連の最新記事・ニュースリリース・論文から、グローバル企業のESG(環境・社会・ガバナンス)戦略の進捗、国際的なサステナビリティ認証の動向、教育機関の先進的な取り組み、そして欧州企業のサステナビリティ経営の深化など、注目すべき動きを厳選してご紹介します。特に本日の目玉は、世界最大の小売企業Walmartによる最新ESGレポートの発表です。企業のサステナビリティ担当者の皆様にとって、今後の戦略立案や実務に直結する示唆をお届けします。
昨日のサステナビリティ最新トピック
Walmart、2025年ESGアップデートを発表:「脱炭素目標未達」も、事業価値創出との連動を強調
Walmartは2025年9月8日、最新のESGレポートを発表しました。世界最大の小売企業である同社は、2025年までに小売事業とエネルギー消費によるカーボンフットプリントを35%削減する目標の達成が困難であることを改めて表明しました。2024年の事業運営に伴う排出量は1,600万トン(前年比1.1%増)となり、2030年までの65%削減目標も達成が危ぶまれています。
一方で、売上高あたりの排出量(排出原単位)は過去10年で47%減少しており、サステナビリティ目標と事業価値創出の連動を強調しています。Walmartのチーフ・サステナビリティ・オフィサーは「2040年までのゼロエミッション達成に向けて着実な進展がある」と前向きな姿勢を示しました。今後は、サステナビリティ施策が企業価値や競争力にどのように結びつくかが、グローバル企業のESG戦略の焦点となりそうです。
国際認証機関Verra、複数の新規カーボンクレジット・プロジェクトを公開コメント募集
カーボンクレジット認証の国際的リーダーであるVerraは、2025年9月8日付で新たに複数のプロジェクトを公開コメントの対象としました。インドの電動車両プロジェクトや、持続可能な森林管理、家畜放牧による炭素隔離、バイオCNG(圧縮天然ガス)プロジェクトなど、多様な分野の案件がリストアップされています。
これらのプロジェクトは、Verraの厳格な基準に基づき、第三者による意見募集を経て認証プロセスが進行します。企業のカーボンオフセットやサプライチェーンの脱炭素化において、信頼性の高いクレジット調達先として注目されます。
Rimadesio、2025年上半期の好業績とサステナビリティ強化を発表
イタリアの高級インテリアメーカーRimadesioは、2025年上半期の売上高が5,050万ドルに達し、前年同期比2.7%増を記録したと発表しました。海外売上比率は67%に拡大し、国際展開が加速しています。
同社は「エネルギー効率・低環境負荷の生産体制」「トレーサブルで責任あるサプライチェーン」「リサイクル素材の積極活用」など、サステナビリティ経営を成長戦略の中核に据えています。30年連続の黒字経営を背景に、品質・透明性・倫理を重視した事業運営が市場から高く評価されています。
教育機関におけるサステナビリティ推進:グリーンスクール・クオリティ基準の普及
米国を中心に、教育機関がサステナビリティ推進の先導役となる動きが加速しています。グリーンスクール・クオリティ基準(Green School Quality Standard Framework)は、「気候変動対応」「地域社会との連携」「環境教育の強化」という3本柱で、学校運営・カリキュラム・施設管理にサステナビリティを組み込む指針を提供しています。
再生可能エネルギーの導入やエネルギー貯蔵設備の設置、地域コミュニティとの協働、環境意識を高める教育プログラムの拡充など、教育現場から社会全体への波及効果が期待されています。
国際環境政策の最新動向:COP30に向けた議論と「生きた地球経済」レポート
国連気候変動会議COP30(2025年11月、ブラジル・ベレン開催)を控え、国際的な環境政策議論が活発化しています。新たに発表された「Reboot Development: The Economics of a Livable Planet」レポートでは、特に低所得国で8割の人々が健康的な空気・水・土地を享受できていない現状が指摘され、森林減少が降雨パターンや干ばつリスクに与える経済的損失が強調されています。
また、先住民女性のリーダーシップや、文化的要素が自然資本ファイナンスの推進力となる可能性など、多様な視点からサステナビリティの本質的課題が議論されています。
まとめ
2025年9月8日は、グローバル企業のESG進捗報告、国際認証機関による新規プロジェクトの公開、欧州企業のサステナビリティ経営の深化、教育機関の先進的な取り組み、そして国際政策議論の活発化など、多角的なサステナビリティ動向が見られました。特にWalmartのESGレポートは、目標未達という現実を直視しつつも、サステナビリティ施策が事業価値創出と密接に結びつくことを強調しており、今後の企業戦略に大きな示唆を与えています。
サステナビリティ担当者の皆様には、これらの最新動向を自社の戦略や実務に活かし、グローバルな潮流を的確に捉えた取り組みを推進していただくことを期待します。

