2025年9月12日、サステナビリティ分野では米国の規制動向に大きな注目が集まりました。米国環境保護庁(EPA)が温室効果ガス(GHG)報告プログラムの大幅な撤廃を提案したことは、企業のESG戦略やグローバルなサステナビリティ報告義務に直接的な影響を及ぼす可能性があります。また、米国農務省(USDA)による気候災害対応支援や、地域レベルでのサステナビリティ推進事例も発表され、政策・実務の両面で多様な動きが見られました。
昨日のサステナビリティ最新トピック
米国EPA、温室効果ガス報告義務の大幅撤廃を提案
米国環境保護庁(EPA)は、温室効果ガス報告プログラム(GHGRP)の大部分を廃止する規則案を発表しました。これにより、米国内の大規模施設や燃料・産業ガス供給業者、CO₂注入サイトのほとんどがGHG排出量の報告義務から除外される見通しです。EPAは「GHGRPは実質的な環境改善に寄与せず、企業に年間24億ドルものコスト負担を強いている」と説明しています。今後は、廃棄物排出課金(WEC)の対象となる一部の石油・天然ガス分野のみが報告義務を維持し、その他の分野は2034年まで報告不要となります。規制緩和の背景には、エネルギー産業の競争力強化やコスト削減があり、今後のESG情報開示や国際的なサステナビリティ基準との整合性に大きな影響を与える可能性があります。
米国農務省、気候災害被害の畜産農家に10億ドルの支援
米国農務省(USDA)は、2023年および2024年に発生した洪水や山火事による被害を受けた畜産農家に対し、総額10億ドル規模の緊急支援を発表しました。対象となる農家は、補助飼料費の増加分を補填するための「緊急畜産救済プログラム(ELRP)」に申請できます。申請受付は9月15日から10月31日まで。USDAは「農家の事業継続と食料供給の安定を最優先する」と強調しており、気候変動による災害リスクの高まりに対する迅速な対応が評価されています。
コロラド州ファウンテン・クリーク自然センター、サステナビリティ推進で表彰
コロラド州エルパソ郡のファウンテン・クリーク自然センターが、「サステナビリティ・イン・アクション賞」を受賞しました。同センターは、水資源の節約、エネルギー効率化、リサイクル推進、廃棄物削減など、運営全体にサステナビリティを組み込んでいます。地域住民や観光客向けの教育プログラムやワークショップも充実しており、持続可能なライフスタイルの普及に貢献しています。地域レベルでの実践的なサステナビリティ推進事例として注目されます。
まとめ
2025年9月12日は、米国のサステナビリティ政策において大きな転換点となる動きが見られました。特にEPAによる温室効果ガス報告義務の大幅撤廃提案は、企業のESG情報開示やグローバルなサステナビリティ基準との整合性に大きな影響を及ぼす可能性があり、今後の国際的な議論の焦点となるでしょう。一方で、USDAによる気候災害対応支援や、地域レベルでのサステナビリティ推進事例も発表され、政策・実務の両面で多様な動きが進行しています。
企業のサステナビリティ担当者は、規制緩和の動向を注視しつつ、国際基準や地域社会の期待に応える持続可能な経営戦略の再構築が求められます。今後も、政策・実務の両面から最新動向を継続的にウォッチし、柔軟かつ戦略的な対応が重要となるでしょう。

