2025年9月17日、サステナビリティ分野では、サプライチェーンの透明性と認証制度の進化、そして気候変動対策における法的透明性の確保に関する重要な動きが見られました。特に、製造業のサプライチェーンに特化した新たな認証制度の誕生と、気候科学報告書の作成過程に対する司法判断が注目されます。本コラムでは、昨日発表された海外の専門性の高い記事やニュースリリースをもとに、サステナビリティの最新動向を解説します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
クボタ、サプライチェーン・サステナビリティ認証の初取得
クボタ・トラクター・コーポレーションは、製造業の出荷・流通プロセスに特化した新しいサステナビリティ認証「Supply Score」を世界で初めて取得しました。この認証は、Ducker Carlisle社が開発したもので、倉庫管理、梱包、輸送における温室効果ガス排出量の削減努力を評価します。クボタは、北米流通センターでの廃棄物圧縮・再利用、梱包材の再生利用、輸送回数の削減などを通じて、廃棄コストや燃料消費、温室効果ガス排出量の大幅な削減を実現しました。
この認証は、従来追跡が難しかったスコープ3(間接排出)データの可視化を促進し、サプライチェーン全体のサステナビリティ向上に向けた新たな基準となることが期待されます。クボタは今後、認証マークを施設や梱包、マーケティングに活用し、持続可能な事業運営へのコミットメントを社内外に示していく方針です。
気候科学報告書の作成過程に対する司法判断
2025年9月17日、米国連邦裁判所は、秘密裏に組織された反気候変動グループが作成した「気候科学報告書」が、連邦諮問委員会法(Federal Advisory Committee Act, FACA)の適用除外には当たらないとの判断を下しました。これにより、同報告書の作成過程や関与者の透明性が法的に求められることとなります。
この判決は、気候変動政策や科学的根拠の信頼性確保において、透明性と説明責任の重要性を再認識させるものです。今後、政策決定に用いられる科学的報告書の作成過程に対する監視や情報公開の流れが強まることが予想されます。
新規立法動向:新規就農者支援法案の再提出
全米持続可能農業連合(NSAC)は、米国議会において「新規就農者・牧場経営者資本法案(Bicameral Capital for Beginning Farmers and Ranchers Act)」が再提出されたことを歓迎する声明を発表しました。本法案は、持続可能な農業の担い手育成と資本アクセスの拡大を目的としています。
サステナビリティの観点からは、農業分野における世代交代と持続可能な経営モデルの普及が、食料システム全体のレジリエンス向上に寄与する点が注目されます。
まとめ
2025年9月17日は、サステナビリティ分野において「サプライチェーンの可視化と認証制度の進化」「科学的根拠の透明性確保」「持続可能な農業の担い手支援」という3つの重要な動きが見られました。特に、クボタによる新認証の初取得は、サプライチェーン全体の温室効果ガス削減を定量的に評価・証明する新たな枠組みとして、今後の業界標準化や他社への波及効果が期待されます。また、気候科学報告書の作成過程に対する司法判断は、政策決定の透明性と信頼性向上に資する重要な判例となりました。
サステナビリティ担当者の皆様には、これらの動向を自社のサプライチェーン管理や情報開示、農業分野での人材育成戦略などに活かしていただくことを推奨します。今後も、グローバルな視点での最新動向を注視し、持続可能な経営の実現に向けた取り組みを強化していきましょう。

