2025年9月29日、サステナビリティ分野では米国の企業リーダーが一堂に会した国連グローバル・コンパクト・ネットワークUSA年次サミットの開催と、化粧品パッケージングの分野で画期的なサステナブル技術「ERA™」の発表という、注目すべき2つの動きがありました。本コラムでは、これらの最新動向を要約し、企業のサステナビリティ担当者が押さえておくべきポイントを解説します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
米国企業リーダーが集結:国連グローバル・コンパクト・ネットワークUSA年次サミット開催
2025年9月29日、ニューヨークで「UN Global Compact Network USA Annual Summit」が開催され、200名を超える米国企業のリーダーと国連関係者がサステナビリティをテーマに集結しました。本サミットは、米国民間企業のサステナビリティ推進に特化した唯一の国連総会公式イベントであり、今年は「政策の変化」「情報開示要件の進化」「UNグローバル・コンパクト10原則の実践」が主要テーマとなりました。
パネルディスカッションやラウンドテーブルでは、2030アジェンダ、気候変動・環境、人権・労働、企業間パートナーシップなど、グローバルなサステナビリティ課題への対応策が議論されました。特に、米国企業がサプライチェーン全体に与える影響力や、業界横断的な連携の重要性が強調されました。
開会の辞では、Network USAのエグゼクティブ・ディレクターであるアマンダ・ガーディナー氏が「経験を共有し合うことで未来を形作る洞察が得られる」と述べ、企業間のオープンな対話と協働の場としてのサミットの意義を強調しました。サミットでは、排出削減やサプライチェーンの人権課題に関する専門的なラウンドテーブルも開催され、実践的な知見の共有が行われました。
化粧品業界の新潮流:次世代サステナブル・ディスペンサー「ERA™」発表
同日、米国バージニア州リッチモンドのSilgan Dispensing社は、化粧品パッケージングの分野で次世代サステナブル技術「ERA™」を発表しました。ERA™は、金属部品を一切使用しないオールプラスチック構造のポンプシステムで、リサイクル性を大幅に向上させた点が特徴です。特許取得済みのLifeCycle™テクノロジーにより、従来の金属バネをプラスチック製に置き換え、APRやRecyClassなどのリサイクル基準を満たしています。
さらに、ERA™は「Pure Path™」技術を採用し、内容物が金属に触れない設計を実現。これにより、保存料無添加やナチュラル成分を使用した化粧品にも最適なパッケージとなっています。消費者調査では、61%が従来のチューブディスペンサーよりも高級感を感じたと回答しており、サステナビリティとブランド価値の両立を実現しています。
今後は、ボトルディスペンサーやローション用システムへの展開も予定されており、化粧品業界におけるサステナブルパッケージの新たなスタンダードとなる可能性が高いといえます。
まとめ
2025年9月29日は、米国のサステナビリティ推進における企業リーダーの連携強化と、化粧品業界におけるサステナブル技術の革新という2つの重要な動きが見られました。UNグローバル・コンパクト・ネットワークUSA年次サミットでは、企業間の協働とグローバルな課題解決への意欲が再確認され、今後の米国企業のサステナビリティ戦略に大きな影響を与えることが期待されます。
一方、Silgan Dispensing社のERA™は、サステナビリティと消費者体験の両立を実現する新技術として、化粧品業界のサステナブルパッケージングの新たな基準を提示しました。
サステナビリティ担当者にとっては、グローバルな潮流と業界ごとの技術革新の両面を的確に捉え、自社の戦略に反映させることが今後ますます重要となるでしょう。

