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EUの新NDC合意とAI活用によるグローバル企業のESG加速

2025年11月7日は、サステナビリティ分野で国際的に重要な動きが複数報じられた日となりました。特に、EU加盟国による新たな温室効果ガス削減目標(NDC)の合意や、グローバル企業によるAIを活用したESG推進の加速が注目されます。本コラムでは、昨日発表された主要な記事・ニュースリリース・論文を要約し、サステナビリティの最新動向を解説します。

目次

昨日のサステナビリティ最新トピック

EU、2035年・2040年の新たな温室効果ガス削減目標で合意

EU加盟国は、パリ協定に基づく新たな国別削減目標(NDC)に合意し、2035年までに1990年比で66.25~72.5%、2040年までに90%の温室効果ガス排出削減を目指す方針を決定しました。これらの目標は、2025年11月10日からブラジル・ベレンで開催されるCOP30に先立ち、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に提出されます。合意には、最大5%分の削減をカーボンクレジットの購入で代替できる柔軟性も含まれていますが、実質的な排出削減効果が薄れるとの批判も出ています。欧州議会での承認を経て、2040年目標は法制化される見通しです。

また、欧州環境庁の最新レポートによれば、EU全体の温室効果ガス排出量は2024年にさらに2.5%減少し、2030年目標(1990年比55%削減)にほぼ到達する見込みです。今後は、カーボンシンクの強化や運輸部門の脱炭素化、各国レベルでの実行力向上が課題とされています。

出典:

Hisense、AI駆動型サステナビリティ戦略を加速

中国の大手家電メーカーHisenseは、AIを活用したESG(環境・社会・ガバナンス)戦略の進展を発表しました。同社は「インテリジェンス+グリーン開発」の二軸で、製造・社会貢献・ガバナンスの各分野で責任あるイノベーションを推進しています。特に、Hisense Hitachiの黄島工場が、VRF(Variable Refrigerant Flow)分野で世界初の「サステナビリティ・ライトハウス」に認定され、AIとデジタル化による持続可能な製造の先進事例となりました。

Hisenseは、2026年のカーボンピーク、2050年のカーボンニュートラル達成を目標に掲げ、ISO14001認証取得やゼロカーボン工場の設立、グリーン技術標準の策定などを進めています。また、AIを活用した社会貢献活動や、ガバナンス強化のための国際認証取得も推進。グローバル企業として、ESGを成長戦略の中核に据えた取り組みが加速しています。

出典:

https://www.morningstar.com/news/pr-newswire/20251107cn16159/hisense-accelerates-esg-strategy-with-ai-driven-sustainability-milestones

米国:小規模製油所の再生可能燃料基準(RFS)免除に関するEPAの追加決定

米国環境保護庁(EPA)は、2021~2024年の再生可能燃料基準(RFS)義務に関する小規模製油所の免除申請16件について、2件の全免除、12件の部分免除、2件の却下を発表しました。これにより、RFSプログラムの運用改善と小規模事業者への配慮が進められています。免除に伴うRIN(再生可能識別番号)の返還手続きも案内されており、米国の再生可能燃料政策の運用に関する最新動向として注目されます。

出典:

US EPA
EPA Issues Additional Decisions on Small Refinery Exemptions | US EPA EPA is delivering on President Trump’s promise to restore America’s energy dominance by continuing to process Small Refinery Exemption (SRE) petitions.

環境団体と公益事業者、SEEM(Southeast Energy Exchange Market)に関する和解

米国南東部の電力市場「SEEM(Southeast Energy Exchange Market)」を巡り、環境団体と公益事業者が和解に達したことが報じられました。詳細は明らかにされていませんが、再生可能エネルギーの導入や市場の透明性向上に向けた合意が期待されます。

出典:

Southern Environmental Law Cente...
Environmental Groups Reach Settlement with Utilities on SEEM - Southern Environmental Law Center WASHINGTON, DC – Today, a coalition of Southeastern environmental groups, represented by the Southern Environmental Law Center, and the Natural Resources Defens...

2025年アースショット賞、国際公海条約(High Seas Treaty)が受賞

英国のウィリアム王子が創設した「アースショット賞2025」において、国際公海条約(High Seas Treaty)が受賞しました。同条約は、国際水域の生物多様性保全と持続可能な利用を目的とした国際的枠組みであり、グローバルな海洋ガバナンス強化の象徴的な成果と評価されています。

出典:

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まとめ

2025年11月7日は、**EUの新たな温室効果ガス削減目標の合意**と、**グローバル企業によるAI活用型ESG推進の加速**が特筆すべきトピックとなりました。EUのNDC合意は、COP30を目前に控えた国際的な気候変動対策の進展を示し、今後の法制化と実効性が注目されます。一方、Hisenseのようなグローバル企業がAIとサステナビリティを融合させた戦略を推進する動きは、企業競争力と社会的価値の両立を目指す新たな潮流を象徴しています。

また、米国の再生可能燃料政策や電力市場における環境団体と事業者の和解、国際公海条約の国際的評価など、サステナビリティを巡る多様な動きがグローバルに展開されています。今後も、政策・企業・市民社会が連携し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが加速することが期待されます。

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