estoma weekly report (2025年12月10日~2025年12月17日)
今週は、EUにおけるCSRD/CS3D(CSDDD)簡素化の進展と、ISSBが自然関連開示を標準設定へ移行した点が主要トピックです。開示対象の絞り込みと実務負荷の再配分が進む一方、投資家・取引先からのデータ要求は継続する傾向です。担当者は適用範囲変更の影響把握と、自然関連リスク情報の収集体制の確認が必要です。
● EU理事会・欧州議会、CSRD/CS3D簡素化で暫定合意(2025/12/09)
CSRDおよびCS3D(CSDDD)の報告・DD負担を軽減する目的で、対象企業の範囲縮小や「小規模企業への波及(トリクルダウン)」抑制を含む暫定合意が公表されました。今後の最終手続の進捗確認が実務上の論点です。
● 欧州議会、サステナビリティ報告・DD見直しパッケージの採決予定を告知(2025/12/15)
欧州議会は、サステナビリティ報告およびDD要件の簡素化に関する合意文書について、2025年12月16日の本会議採決予定を示しました。適用範囲・義務内容の変更が想定され、EU事業を持つ企業は前提条件の更新が必要です。
● ISSB、自然関連(生物多様性等)開示を研究から標準設定へ移行(2025/12/10)
ISSBは2025年12月10日の会合で、自然関連リスク・機会に関するプロジェクトを研究段階から標準設定へ移す決定を公表しました。次の手続としてディスカッション・ペーパーではなく公開草案(Exposure Draft)を予定し、IFRS S1/S2を補完する位置づけです。
● CDP、2025スコアをポータルで提供開始(2025/12/10)
CDPは、2025年スコアが2025年12月10日に「開示企業および関係者」に対してCDPポータルで利用可能となる日程を提示しています。スコア開示後は投資家・取引先からの照会増加が想定され、根拠資料の整理が必要です。
● 今週の主要評価機関(MSCI、S&P Global、FTSE、EcoVadis等)の「制度・方法論の公式更新」発表は確認できず(2025/12/10~2025/12/17)
対象期間内に、上記機関による方法論改定等の公式発表(一次情報)を特定できませんでした。
● EU、輸入油ガスのメタン規制に「簡素な準拠手段」を提示(2025/12/11)
EUは、輸入油ガスのメタン排出の監視・報告を求める規制に関し、第三者認証値やデジタルの「トレース&クレーム」等の選択肢を提示したと報じられました。サプライチェーン由来データの整合性確保が実務論点です。
● 米国、EUのメタン規制について米国産ガスの適用除外を要求(2025/12/15)
米国政府文書に基づき、米国がEUのメタン排出規制について、米国産油ガス輸入への適用除外(または猶予等)を求めたと報じられました。規制適用の不確実性が、調達・契約条件(データ提供義務等)に影響し得ます。
● EU議会、企業サステナ規制の弱体化合意を承認(2025/12/16)
EU議会が、企業サステナビリティ関連法の要件緩和(報告・実務要件の縮小)に関する合意を承認したと報じられました。最終的な制度確定までの手続(加盟国側の承認等)を前提に、適用範囲の再判定が必要です。
6-1. テーマ選定理由
EUのCSRD/CS3D簡素化が具体的な合意・議会手続として進み、開示対象の見直しが現実的な実務課題になっているためです。適用範囲変更は、データ収集体制と取引先対応に直結します。
6-2. 背景(120〜200字)
EUは企業の競争力強化と事務負担軽減を掲げ、CSRD(サステナ報告)とCS3D(サステナDD)の簡素化を進めています。2025年12月9日に理事会・議会交渉で暫定合意が公表され、12月16日の議会採決に向けた情報発信も行われました。制度変更が確定すると、報告義務の対象企業・サプライチェーンへの要請内容が再整理されます。
6-3. 主要論点
- 適用範囲の再判定:対象企業の絞り込みが進む場合、連結範囲・EU域内事業の構造に応じて「誰がいつから」報告するかが変動します。
- 取引先要請の設計:トリクルダウン抑制が示される一方、投資家・顧客の要求で任意開示やデータ提出が残る可能性があります。
- データ粒度の見直し:報告負担軽減が進むと、指標の粒度・証跡の持ち方が変わり、内部統制や監査対応の設計変更が必要になります。
- DD(人権・環境)実務の境界:DD義務の範囲変更により、サプライヤー評価・是正管理の運用範囲が見直し対象になります。
6-4. 企業実務への示唆
制度確定前でも、(1) EU拠点・売上・従業員等の情報を用いた適用判定ロジック、(2) 取引先からの任意要請に耐える最小限のデータカタログ、(3) DD対象範囲の棚卸し、を並行整備すると移行コストを抑えられます。採決・最終承認のタイミングに合わせ、社内方針更新のゲートを設定することが有効です。
まとめ
今週は、EUのCSRD/CS3D簡素化が暫定合意から議会採決段階へ進んだこと、ISSBが自然関連開示を標準設定へ移行したことが要点です。来週は、EU側の最終手続の進捗と、関連ガイダンスの具体化が注視点になります。次回公開予定日は2025年12月24日です。

