2025年4月17日、世界各地でサステナビリティに関する重要な発表や取り組みが相次ぎました。本コラムでは、グローバル企業や研究機関による最新のイノベーション、政策動向、市場変化を中心に、ESG担当者が押さえておくべき注目ニュースを厳選してご紹介します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. 米国初の「グリーン証券取引所」誕生—SECがGreen Impact Exchange(GIX)を承認
米国証券取引委員会(SEC)は、国内初となる“グリーン”証券取引所「Green Impact Exchange(GIX)」の設立を正式承認しました。GIXは2026年初頭から運用開始予定であり、上場企業には独自のサステナビリティ基準への適合が求められます。これにより、「気候リスク=経営リスク」と捉える投資家・企業間で透明性と信頼性ある情報流通が促進される見込みです。今後はデュアル・リスティングからスタートし、中長期的にはメイン市場としても機能する計画です。この新たな市場インフラは35兆ドル規模とも言われる持続可能投資マーケットへのアクセス拡大と競争力強化につながります。
2. サーキュラーエコノミー加速—バイオ循環型PVC市場レポート発表
ResearchAndMarkets.comによれば、「バイオ・サーキュラー・バランスドPVC市場」の成長予測レポート(2025-2034)が公開されました。建設、自動車、包装など多様な産業分野で再生原料やバイオマス由来原料への転換が進みつつあり、大手メーカー各社は機械的/化学的再生技術とブロックチェーン等によるトレーサビリティ強化にも注力しています。一方、高コストや先端インフラ不足など課題も残りますが、新興国での循環型インフラ拡充やパートナーシップ推進など成長余地も大きい状況です。
3. BASF:北米ケアケミカルズ事業でEcoBalanced製品拡充&全工場100%再エネ化へ
BASFは北米ケアケミカルズ部門にて、生分解性界面活性剤Dehyton® PK 45およびKE UPをEcoBalanced認証品として投入すると発表しました。また同地域6工場すべてを100%再生可能電力へ切り替え済みとし、そのCO₂削減効果は年間約33,000トンに及ぶとのことです。同社では2030年までにScope2排出量25%削減(2018比)、2050年ネットゼロ達成という中長期目標達成へ着実な一歩となっています。
(出典: https://www.basf.com/basf/www/us/en/media/news-releases/2025/04/P-US-25-19)
4. AASHE 2025 サステナビリティ賞受賞者発表—教育現場でも革新的実践広まる
高等教育分野最大級の持続可能性団体AASHEより、「AASHE Sustainability Awards 2025」の受賞者一覧が公表されました。今年度から新設されたフェロー賞では、中堅プロフェッショナル層による顕著な貢献も評価対象となり、多様な人材育成と現場主導型改革への期待感が高まっています。
(出典: https://www.aashe.org/news/announcing-the-winners-of-the-2025-aashe-sustainability-awards/)
5. ジョージア工科大学:「My Green Lab Initiative」で研究室単位の脱炭素推進
ジョージア工科大学では「My Green Lab Initiative」を通じてキャンパス内研究室ごとの省エネ・廃棄物削減活動を体系的かつ定量的に推進しています。科学技術系施設特有の高消費エネルギー領域でも具体策導入例として注目されています。
まとめ
昨日4月17日は、制度、素材、事業運営、人材育成という多角的視点から世界規模で重要ニュースや取り組み事例が相次ぎました。
特筆すべきは、
・ 米国初となるグリーン証券取引所誕生という金融×ESG領域で歴史的一歩
・ バイオ循環型素材普及加速およびそのためのR&D/協働体制強化
・ グローバル大手によるScope2排出量削減施策実装
・ 教育現場~最前線研究施設まで裾野広く浸透する脱炭素&人材開発潮流
これらはいずれも単なる宣言や理念だけではなく、「具体策」「数値目標」「第三者認証」等リアルワールド志向かつ検証可能な形態へ移行している点にも注目です。