MENU

炭素吸収力の低下と企業の対応策

2025年4月21日は、地球規模でのサステナビリティ推進に関する重要な動きが複数報じられました。特に、気候変動対策の新たな課題やESG(環境・社会・ガバナンス)報告の役割強化、大学や企業による先進的な取り組みなど、多角的な視点から最新トレンドが浮き彫りとなっています。本コラムでは、昨日発表された海外の専門性高い記事やニュースリリースを中心に、その要点と示唆をまとめます。

目次

昨日のサステナビリティ最新トピック

1. 地球生態系による炭素吸収力低下への警鐘

ワシントンポストは、大気中CO₂濃度が2024年に過去最大となる3.75ppm増加したことを受けて、「アマゾンなど主要生態系が炭素吸収源として機能しなくなる可能性」を指摘しました。干ばつや山火事、高温によって光合成能力が損なわれ、一部地域では逆に炭素排出源へ転換しているとの分析です。これまで人類活動由来排出量のおよそ半分を自然生態系が吸収してきましたが、その限界到達への懸念は大きく、企業経営にも直接的影響があります。

金融・事業戦略上も「カーボンシンク依存型」の脱炭素計画見直しや、生態系サービス喪失時のレジリエンス構築、新たな規制対応準備など、多面的対応の必要性が強調されています。

(出典:https://davidcarlin.substack.com/p/david-carlins-sustainability-digest-7f5

2. ESG報告とScope1~3排出量管理への注目拡大

Earth Day 2025(今年のテーマ:「Our Power, Our Planet」)を前に、「ESG報告」が持続可能経営推進で果たす役割について再評価する論考も発表されました。今年は「2030年までに世界全体で再エネ電力供給量3倍化」という野心的目標も掲げられています。

ESG報告では、自社直接排出(Scope1)、購入電力等間接排出(Scope2)、バリューチェーン全体間接排出(Scope3)の三分類ごとのGHG算定・開示義務化傾向も加速しています。これら情報開示は投資家だけでなく取引先選定にも直結しつつあり、日本企業でもグローバル基準適合への対応強化が求められる状況です。

(出典:https://mansfield.energy/2025/04/21/earth-day-2025-how-esg-reporting-supports-sustainability-goals/

3. 大学キャンパス主導による脱炭素とレジリエンス施策

米国カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)からは、「キャンパス全体で持続可能性とレジリエンス向上」に向けた具体的成果発表がありました。同校ではオール電化型学生寮建設、大規模天然ガス削減プロジェクト、自転車シェアリング導入およびeBikeインセンティブ制度展開、さらには複数マイクログリッド設計完了など、多層的かつ実践的施策を推進しています。

こうした教育機関主導モデルは都市部スマートコミュニティ形成にも応用可能であり、日本国内自治体・大学連携プロジェクトでも参考になる好例と言えるでしょう。

(出典:https://news.ucsc.edu/2025/04/keynote-earth-day.html

4. スポーツ施設分野でも国際認証取得広まる

米NFLスタジアム「SoFi Stadium」は、この日付で自主基準ベースの持続可能管理認証取得を公表しました。同様認証取得済みスタジアムは全米でもわずか三例のみということで、大規模イベント施設運営領域でも環境配慮型運用標準確立へ一歩前進した形です。

(出典:https://www.sofistadium.com/news/detail/sofi-stadium-achieves-sustainable-management-standards-making-it-one-of-only-three-nfl-stadiums-to-achieve-voluntary-standard

5. 地域密着型イノベーション:タイニーハウス普及活動

また同日開催された「Sustainability Symposium」(ミシガン州)では、“合法建築第1号”タイニーハウス建設者による講演予定も話題となりました。住宅問題解決×省資源社会実現という観点から、小規模住居普及運動にも注目集まっています。

(出典:https://www.kzoo.edu/news/2025-sustainability-symposium/

まとめ

2025年4月21日は、

– 気候変動対策面では自然生態系頼みから自助努力重視への転換圧力

– ESG情報開示義務拡大およびGHG算定精緻化

– 教育機関/スポーツ施設等多様セクター横断型イノベーション

– 地域密着小規模住宅モデル普及促進

――といった多彩かつ本質的潮流変化/新潮流創造につながるニュース・論考発信の日でした。

今後日本企業としても、

– カーボンクレジット依存度低減+自社削減努力強化

– Scope1~3含むバリューチェーン全体最適追求

– サプライチェーン途絶/極端気象等“想定外”の事象を織込んだBCP高度化

―― 等々、“守り”だけでなく“攻め”視点を含む統合戦略アップデートが不可欠です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次