2025年6月13日は、欧州を中心にサステナビリティ分野で重要な動きが相次ぎました。企業の持続可能性報告義務に関する規制見直しや、クリーンエネルギー推進イベント、革新的な技術・プロジェクトの表彰など、多角的な視点から最新トレンドが浮き彫りとなっています。本コラムでは、その中でも特筆すべき「欧州議会による企業サステナビリティ規制緩和への提案」と「ヨーロッパ最大級の持続可能エネルギーイベントで示された新潮流」を中心に、昨日発表された主要ニュースや論文を要約し、ご紹介します。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. 欧州議会議員が企業サステナビリティ規則の大幅緩和を提案
EU(欧州連合)では近年、企業に対して厳格なESG(環境・社会・ガバナンス)情報開示義務を課す方向で法整備が進んできました。しかし2025年6月13日、スウェーデン出身のJörgen Warborn欧州議会議員は、「現行ルールは過度な負担となっている」として、大幅な緩和策を盛り込んだ新たな提案書を公表しました。主張によれば、中小企業への影響や事務コスト増大への懸念から、一部報告義務項目の削減や適用範囲縮小など抜本的見直しが必要とされています。この動きは今後EU全体のESG政策にも波及する可能性があります。
(出典:https://esgnews.com/eu-lawmaker-pushes-for-deeper-cuts-to-corporate-sustainability-rules/)
2. ヨーロッパ持続可能エネルギー週間:公平かつ競争力あるグリーントランジションへ
同日開催された第19回「ヨーロッパ持続可能エネルギー週間(EUSEW)」には1万人以上が参加し、「公平かつ競争力あるグリーントランジション」をテーマに多様なセッションと展示会が行われました。注目ポイントとして、
– 塩水ベース蓄電池技術「AQUABATTERY」(オランダ)がイノベーション賞受賞
– ベルギーOtterbeek地域で低所得者向け再生可能エネルギープロジェクト推進
– 若手女性人材育成へ貢献した研究者Stella Tsani氏も表彰
など、多様性・包摂性・地域協働型モデルへのシフトも鮮明になりました。
フローティングソーラー導入拡大へ:新たなポテンシャル評価モデル発表
米国コーネル大学ら研究チームは、新たにフローティングソーラー(浮体式太陽光発電)の潜在能力および導入時トレードオフ分析モデルについて論文発表しました。従来型陸上設置よりも土地利用効率や冷却効果等で優位性ありとされる一方、生態系影響等にも配慮した意思決定支援ツールとして期待されています。
(出典:https://news.cornell.edu/stories/2025/06/new-approach-models-potential-and-trade-offs-floating-solar)
3. サステナブル経営推進カンファレンス:デジタル活用×循環経済×グリーンファイナンス戦略強化へ
ドイツ・フランクフルトでは11~13日にかけて世界有数規模となるSustainability World Summit 2025 が開催されました。今年度は、
– デジタル技術活用による業務効率化
– サプライチェーン透明化
– 循環型経済実装事例共有
など先端テーマについて各国専門家らによる知見交換およびネットワーク構築機会となりました。
4. 米国地方自治体:気候変動対策予算削減危機回避
米オレゴン州マルトノマ郡では財政難から気候変動対策部門予算削減案が検討されていました。しかし市民団体等から強い反発を受け、大幅カット回避という結果になりました。地方自治体単位でも住民参加型ガバナンス強化傾向が顕著です。
まとめ
昨日6月13日は、とくにEU域内外で“制度改革”と“現場起点イノベーション”双方から大きく揺れ動いた一日でした。
特筆すべきは、「EU法改正論争」の加速です。一方通行だった厳格化路線だけでなく、“実効性重視”“負担軽減”という現場感覚とのバランス調整フェーズ入りとも言えます。同時期開催されたEUSEWや世界カンファレンスでは、市民参画/多様人材登用/テクノロジードリブン施策――こうしたボトムアップ型アプローチこそ今後さらに重要になることも示唆されました。
また、新興技術領域として注目集める浮体式太陽光発電分野でも科学的根拠づくり=意思決定支援ツール開発という地道ながら不可欠な基盤整備も着々と進展しています。
日本国内外問わず、自社戦略立案時にはこうした“制度面”“社会潮流”“テクノロジートレンド”三位一体視点こそ不可欠です。本稿内容をご参考いただき、自社ならびに取引先との建設的対話材料としてご活用ください。