2025年6月17日に発表されたサステナビリティ関連の最新ニュースや論文から、グローバルな企業・大学・産業界が推進する「循環型経済」やバイオ技術による脱炭素化、そしてデータ活用による透明性向上など、多角的な動きが明らかになりました。本コラムでは、その中でも特に注目すべきトピックとして、「プラスチック循環とデジタルツール」「繊維産業における酵素利用拡大」「大学主導のSDGs推進」の3点を取り上げます。
昨日のサステナビリティ最新トピック
1. プラスチック循環とデジタルツール:BASFがK 2025で示す未来像
世界最大級の化学メーカーBASFは、国際展示会K 2025(プラスチック・ゴム産業見本市)に先駆けて、「持続可能なプラスチックの未来」をテーマにした新たな製品群とソリューションを発表しました。
主なポイントは以下です。
– バイオマスバランス法(Biomass Balance Approach)を活用し、再生可能原料由来の樹脂製品(例:Siemens社回路遮断器やZARAボディスーツ等)を展開。
– 化学的リサイクル由来原料によるCcycled®ポートフォリオも拡充し、安全ヘルメットやスポーツウェアなど多様な用途へ展開。
– データ標準化・相互運用性向上を目的としたPCF(Product Carbon Footprint)管理アプリ「PACIFIC」を提供開始。これにより素材ごとのカーボンフットプリント情報共有が容易となり、バリューチェーン全体で透明性と責任ある選択が促進されます。
このように素材転換だけでなく、デジタルトランスフォーメーションも同時並行で進むことが今後のグリーントランスフォーメーション成功には不可欠です。
(出典:https://www.basf.com/global/en/media/news-releases/2025/06/p-25-115)
2. 繊維産業への酵素利用拡大:7.54億ドル市場へ成長予測
世界規模で繊維加工分野への酵素応用が急速に広まっています。
最新調査レポートでは、
– サステナブル志向およびバイオベース酵素技術への投資増加
– 酵素処理による水使用量削減、有害薬品排除、省エネルギー効果
– 2030年までには同市場規模7.54億ドル到達見込み
など、市場成長ドライバーとして「持続可能性」が明確になっています。従来型プロセスから脱却し、生分解性材料や低負荷プロセスへの移行は今後さらに加速するとみられます。
3. 大学主導SDGs推進:ASU米国内No.1評価獲得
米国アリゾナ州立大学(ASU)は、「国連持続可能な開発目標」(UN SDGs)の達成度ランキングで米国内1位/世界6位となったことを公表しました。
この評価は、
– 教育機関として社会課題解決力
– 地域社会との連携強化
– カーボンニュートラルキャンパス実現等
多面的取り組み成果によります。「高等教育機関×地域×企業」の協働モデル構築事例として、日本企業にも参考になる動きです。
4. Elon Musk氏xAI社 データセンター大気汚染問題訴訟警告
テネシー州メンフィス所在xAI社データセンターから排出される空気汚染物質について、市民団体より法的措置検討との報道あり。「AIインフラ×地域環境負荷」問題も今後重要論点となりそうです。
5. UTSA 夏季省エネ施策スタート
テキサス大学サンアントニオ校では夏季限定省エネ&節水キャンペーン開始。「教育現場起点」で消費削減意識醸成につながっています。
(出典:https://www.utsa.edu/today/2025/06/story/summer-energy-savings-initiative.html)
まとめ
昨日6月17日は、「循環型経済」と「生物由来技術」、「ESG情報可視化」に関する海外発信の記事・ニュースが複数登場しました。その中でも特筆すべきは、
「BASFによる“素材転換+DX”戦略」
です。同社事例は単なる代替材料導入だけではなく、“カーボンフットプリント可視化”という次世代基盤整備まで踏み込んだものと言えます。また繊維加工分野でも“脱石油依存”かつ“低負荷プロセス”志向へ舵切り鮮明となっており、日本企業にも即時参考になる内容でした。
一方、高等教育機関主体のSDGs推進モデルや、大規模ITインフラ運営時代ならではの新たな地域課題顕在化も確認できました。“モノづくり”“サービス提供”“人材育成”“都市運営”、あらゆる領域横断的にESG対応深化していること――これこそ昨日最も伝えたいポイントです。
引き続き各領域横断的視点から日々アップデートしてまいりますので、ご期待ください。